7.ベースはカンフー映画ですが、飛びつき式腕ひしぎ逆十字やら、三角締めやら、総合格闘技風味が加えられております。新日本プロレスのかつての迷走が、ここにも伝染していたか、と。ジャーマンスープレックスみたいな技も出てくるので、格闘技風プロレス式カンフー映画。
概ね、登場する若い男性はムキムキで、若い女性は美人で、どんな大怪我をしても顔だけはかすり傷で済む、というシステム。安心印ですね。そんなことでいいんだろうか。敵は、タコ殴りにされるとそれなりにヒドイ顔にはなります。
ドニー・イェンが「若い男性」の部類に入るかというと、当然入らないはずなのですが、一番ムキムキしてます。いや、さすが。
で、彼が演じる主人公、日頃は冷静に見えるけれど、「怒りの導火線にいったん火が付いたら大暴走、我を忘れて敵を叩きのめす」という役どころ、らしい。ここの描写がもう一つ弱くって、イマイチ狂気が感じられないんですね・・・というか、本格的なマーシャルアーツに見せようとすればするほど、冷静に見えてしまうんだから、しょうがないのです。中盤で一度は見せた狂気も、だんだん薄まってしまう。
あの、チキン爆弾のくだりも、何だか妙で、もう一つ盛り上がりに欠け、演出にも問題ありかも。いやそれ以上に、音楽がうるさいばかりでどうもセンスが感じられず。劇伴音楽ってのが映画でなぜ流れるかというと、実は、「盛り上げるため」というのはあくまで副次的なもので、「効果音が最小限で済む」というのが一番大きいのでは。
とか何とか言っても、いざアクションが始まれば、いやさすが。銃を手にしても銃撃戦一辺倒にはならず、銃を抱えて走って見せる、追跡劇。これはなかなかにスリリングでした。