1.《ネタバレ》 法廷内に据えられたテレビカメラが、審理の模様を中継している。
米国ならではの光景だ。
被告席に座るダナ・アンドリュースは彼に向けられたカメラを正面からじっと見据える。
彼を追い詰めていくのは、自らが捏造した状況証拠だけでなく、
マスメディアのレンズでもある。
『暗黒街の弾痕』のラストで、ヘンリー・フォンダを捉えるライフルの照準器のように。
映画のラスト、奥のドアへと退出する彼に、カメラのフラッシュが追い討ちをかける。
彼に浴びせられる、その唐突な白光が容赦無い。
予断を煽る新聞のセンセーショナルな大見出しや
儚く灰となる、証拠写真のネガ。
そこにメディアの危うさもまた浮かび上がってくる。