3.《ネタバレ》 SFホラーサスペンスにカテゴライズされる作品ですが、テーマは近代文明への警鐘と読み取れます。その対象は「インターネット」。空間を歪める謎の箱?通路?はワールドワイドウェブのイメージを可視化したもの。知識・記憶の共有化、人間関係の悪化、一度開いたらもう閉じる事は出来ない等…全てネットの特徴に当てはまっています。その脅威のテクノロジーは、既存の機械文明全てを駆逐してしまうほど(だから機械が壊れる)。死者の歩行は、投稿者や管理人が死亡した後でも存続し続けるウェブ上の痕跡を意味している気がしました。私自身、ツイッターやフェイスブックに興味はありませんし今後も利用しないでしょうが、情報取得ツールとしてのインターネットは手放せません。それに本サイトの利用はもはや日課となっています。その常習性は恐るべきもの。そういえば異空間に汚染された者たちの姿は、まるで麻薬患者のようでした。インターネットに触れた者は皆、その魔力の虜。正気を失った彼らが、明日の自分の姿ではないと言い切れない事に恐怖しました。最期は…大海に飲み込まれて…自我を失ってしまう……。ホラー映画としては全体的に地味な印象ですが、強烈なメッセージ性を孕んだ意欲作だと感じます。