3.《ネタバレ》 ラストの唐突な父から息子へのメッセージ(強く生きろよ~的な…)に、これで終わり?なんだこれ??と、ボーゼンとしました…。
だいたい目の前にいきなり髭面のおっさんが現れて、「こいつは俺の息子だ!」ってわかるもんでしょうかね。
もし直感でわかったとしても、誤って出火して火事で死ぬ羽目になったというのに、そんな場面で髭面の息子へ父親としてのメッセージなんて送るもんでしょうか。いや、送らんだろ。
現在と過去を何度も行き来して、引っぱって引っぱってようやくラストまで来たというのに、何も解決せずにとりあえず燃やして終わりにするなんて、なんて乱暴な脚本なんだ!
燃やして終わりなんてあんまりだから、とりあえず感動できそうな父から息子へのメッセージをつけとくか。…と、後から映画会社がつけたのでは??なんて思ってしまうほど、不自然だったわー。
そう考えると哀しいので、あのメッセージは脚本家がちゃんと書いたものでテーマにかかわるものだったとして。
この不自然さは、もしかしてこちらの受け取り方の問題だったりして?
で、考えたのですが、主役の医者ダヴィッド。彼はベルカノが死んだことで骨髄移植を受けられなくなり、死ぬ運命になりました。
取り残されるのは、保育器に入った息子です。
あの父から子へのメッセージは、ベルカノからダヴィッドが無意識に受け取ったと思ったもの、そして同じように死にゆくダヴィッドが息子へと送ったメッセージなのではないでしょうか。
そう考えると、父とムスコはそっくり同じ人生を生きたことにも気づきます。
ベルカノは妻を先に亡くし、子どもも赤子の時に手放した。
ダビッドも妻を先に亡くし、赤子の子どもを一人残して死んでいく運命です。
父と息子の人生が、ぴったりリンクしているのです。
だから二人とも言葉にならないメッセージを送る。自分の死に際に。
もしかして、そんなラストだったのではないでしょうか。
映画の時間がもう少し長ければ、そこを描けたのかもしれません。
ラストが駆け足すぎて、それまでの大掛かりな設定とストーリーが無駄になってしまっているのがとても残念。
ペインレスという設定を生かし切れていないのも残念。
一言でいえば、詰め込みすぎ。
ペインレスは別の映画でホラーの題材にして、この作品では内戦と子供の監禁と拷問という過去の話を絡めて父と息子を中心に描いた方がよかったのではないかと思いました。