1.《ネタバレ》 原作未読。この監督作品は初めてでまったく期待しないで上映後のトークショー目当てで行った。
全体的な雰囲気は学園紛争期の昭和をイメージした、かなり抑え気味で叙情豊か。自分の中でドストライクに近いのに、肝心のストーリーがめちゃくちゃだった。もっとまともな脚本ならまだ良かったのに、原作があるから仕方ないのかね。
日本のメディアってどうして悲劇に向かって歩みを進めてしまうのか。かといって安易なバカ騒ぎ映画よりまだマシだけれど。
現実感のない事件を起こさなければ売れないでしょとか考えずに、日常風景のなかで丁寧に物語を紡いでほしいもんです。
そうじゃなかったら、演じる俳優も感情移入できずに苦しむことになる。長い目で見たら潰していくことになる。
主演男優2人の低く心地よい発声と、成海璃子の魅力を再発見したことは収穫。
(後談)トークショーでは成海璃子と矢崎監督が登場。かわいそうに裏表がない人などと監督から評されていた成海璃子は、強気なロボットなどではなく、表情がくるくる変わり、思い悩むひとりの若い女性だった。そういえばまだ20歳前半なんだよな。こんな稀有な人がこの国にいること自体が奇跡だと思った。