1.《ネタバレ》 基本的には監督兼主役に焦点を当てたアクション映画ということのようで、ほかにジャンルとしては「エロティック」というのもあるがそれほどのエッチ感はない。妖怪じみたキャラが奇想天外な術を操る荒唐無稽時代劇だが、意外にも実在の歴史的事件(会津騒動、1639~1643年)を背景にしている(原作がそうだからだが)。もとは106分の映画とのことだが現在見られるのは上下巻に分かれたDVDで、いわゆる未公開映像も加えて単純加算で155分にもなっている。
登場人物では、題名の女忍者7人が大きな見どころになりそうなものだが実際は見事に誰にも愛着がわかない。オッパイ攻撃とか股開き攻撃とか恥ずかしい技を修得した者は生き延びるが、そこまで踏み切れないと途中で死んでいくというのが理不尽である。
オッパイを見せないグループでは「お笛」(演・菅原晶子)が目立っていて色気もあり、出自や最期の様子からも悲哀感を出していたといえなくはない。また敵方の「おゆら」(演・栗林知美)も目を引くところがあったが、以上2人は主人公に次々と惚れては死んでいく役で、結局みんな使い捨てかという印象だった。ほか「お品」役の鵜川薫という人も別のところで見たことがあるので注目していたが、特に何だということもなく退場してしまったのは残念だ。若手女子ばかり見るのでなく、主人公の男ぶりにほれ込んだということにでもなればそれなりに楽しめる可能性もなくはない。
なお参考として原作を読むと結構まともな時代小説であり、奇抜な妖術のようなものはそれほど多くなく、そもそも忍者は出ない。しかし映画化に当たってはかなり原作に忠実な筋立てにしようとしていたことがわかり、特に上下2巻のDVD版は、上下2巻の原作長編を可能な限り再現することが主眼だったとも考えられる。違いとしては、原作では会津芦名氏の存在感が大きく「賤ヶ岳の七本槍」の加藤家がかすんで見えるほか、特に仇討ちの女子衆7人(8人)の扱いにかなり差があったように思われる。主人公が敵の城に単身乗り込んだ際、ものすごく格好よく啖呵を切る場面は原作にも映画にもあるが、これはどちらかというと原作の方が全体との関係で活きていた気がする。