1.《ネタバレ》 主人公の女性の名前そのまんまに、ヨーロッパに於ける普遍的な神話的概念「水の精(ウンディーネ)」をモチーフにした現代ファンタジー、という感じの作品。オペラだったら例えばドヴォルザークの『ルサルカ』なんて作品も存在するが、ウンディーネは総じて悲恋の物語の主人公となる、その部分を投影した現代版で、ただしウンディーネの伝承の細かい設定までを忠実に反映・再現しているモノでもないし、そもそも映画としてその真相が隅々まで明示されて終わる、という訳でもない。端的に言えばごく不可思議なおはなし(部分的には少しだけ不可解)として観るべき様なモノだ、と言ってまた好いであろうと思う。
その意味では、多分に雰囲気映画の類いとも言って好いかも知れない。そしてその雰囲気の面については、出来はまたかなり上質というレベルだったかと思います。まずはまたバッハの音楽が抜群にハマってましたね(協奏曲ニ短調)。なんとゆーか、水って実は哀しいモノなのかなあ、と感じさせられたとでもゆーか。水が奥底に秘める静けさ・暗さ・冷たさそのものこそ、ウンディーネの悲劇的な運命のある種の根源・理由なのではないか、と(その部分のイメージとゆーのは比較的温暖なアジア=東洋とそーではない西洋との文化的差異、とでも言って好いものなのかも…とも)。
前述どおりやや曖昧な雰囲気映画とは言え、ラスト付近はごく手堅いまずまずの分かり易さで、また小物も使ってお洒落に演出されるので結構気持ち好く観終われたと思います。また、ギリ90分という尺も(この内容でこれ以上の長さは確実に冗長になる、という意味で)非常に適切だったかと。偶には気楽に小品でも観るか~て観たのがこれホドのクオリティだと、なんとゆーかお得感がハンパ無いですね!実はかなりオススメです。