1.《ネタバレ》 何をやってもダメなヒロイン。てか、何をやってもダメと思っている超マイナス思考のヒロインと言った方が妥当かも。
そんな彼女の家に空き巣が入り、ラップトップと祖母の形見の銀食器が盗まれてしまう。警察は親切に(当たり前の)捜査をしてくれるが、彼女の求める捜査とは違う。彼女はもっと自分のことを見て欲しい。彼女だけのために親身になって集中して捜査して欲しい。
この件に留まらず、彼女が周囲に求めるものは結構我儘で自分勝手かも。だから、何かにつけて彼女は満足出来ないでいるような。楽しみに読んでいる小説のネタバレをされてしまう件を除いて(これはホント可哀そう)、概ね受け取り方次第じゃないかなと思えてしまう。
とは言え、振り返ってみれば、かく言う私とて他人のことは言えないようにも思え、ヒロインを全否定は出来ないように思えたりもする。現代社会で自分のスタイルを確立して独りで生きるのは、極めてハードルの高い所業。それでも独りで生きようとするヒロインがどこかしら愛おしくなりました。メラニー・リンスキーが時折り魅せるキュートな素顔が良いです。
相棒として彼女に付き合うトニーがまた良いですね。単なる自分勝手なオタクではなくて、キチンと人と接することの出来るある意味常識人。イライジャ・ウッドの好演が光るところです。
ただ、結局ルースは何を学んだのでしょう?生きることの幸せを掴めたのでしょうか?そしてラストシーンのトニーは幻想なのでしょうか?重傷を負い息絶えたかのように思えましたが…。
コメディタッチのサスペンスは大いに楽しめました。が、観終わった後、何かスッキリしないと言うか後味の悪さが残ってしまいました。現代社会に生きる人間にとってのモヤっとしたテーマこそが本作の味なのかも知れませんが。