1.《ネタバレ》 引退するって聞いたときには、やっぱ(少しだけ)驚きもしたのですが、その時からも何となく復帰の可能性は在るかな…とは思ってて、んで5年で復帰ってコトなのでコレは正直「好い頃合い」だと思ったのです。が今作、そんな個人的期待や前評判の高さをも完全に凌駕してゆくがマデに、意外なホドに非常に素晴らしい作品に仕上がってたのですよね⇒短いタームの引退期間でしたが何かしらが(想定外に)好い方向に変化・進化しちゃったのか?とすら。まず、内容とゆーたら、直近の監督作と比べても実に全く何の変哲も無い超・ありふれた物語だとは思うのですよ。勿論、幾つかの親しみ易いテーマはしっかりと置かれては居ます。がしかし、率直にそもそも「やっぱそーいうコトじゃない」と思わされてしまったとゆーか、映画ってやっぱ(何を語るにしても)それをどう語るか、どんな画(色)で+どんな言葉(音)で彩るか、唯それだけのコトなのだ、と再度気付かされてしまった…と言いますか。思いがけず寧ろ、コレこそが映画だ(=映画の技術の粋と言うべきモノだ)とまで、もう唸らさせれてしまった…と言った方が好いかも知れません。
画ヅラと言うならまず、やっぱ何処も彼処も再び魅力に溢れて居る…のですが(⇒北欧の日常風景てのは、色んな他作品でも観るたび実感するコトではありますが、やはり少し風変わりとゆーかちょっと見慣れない感じが常に新鮮に感じられるとゆーか、それもまた今作でも効果的だったかな~とは思いますね)、今作は中でもその「色合い」とゆーか、ごく落ち着いて涼し気なハイソな感じもあるのですが、一方で非常に「鮮やか」だったなァ~という感覚が強かったのです。何となく、直近のカウリスマキ作品には「青い」ってイメージが有るのですが、今作はその青を非常に単純に「儘ならないという意味での憂鬱」の表現として使っている様に見えて、でその中 or 隣とかに(それと相対すべき何かとしての)赤や暖色が配されるという、シンプルなそのコントラストが非常に鮮やかに効果的だった様に見えました。コレも、誰でも出来そう・思いつきそうなモンだとも思うですが、それでも重ねて「卓越した」技術だったと思うのですよね(ココまで来ると)。
音楽的にも、今作はまたほぼほぼ歌芝居と言って好い様なレベルでモロに「歌う」シーンが多くって、かつ監督作の特徴としての台詞の少なさ(+しかも更に各々の本音はソコでまず言葉にならないコト)も相まって、それらの歌に登場人物の真の感情とゆーのがほぼ全て仮託されている…と言っても好い状況だったかと思うのですね。そもそもタイトルの『枯れ葉』とゆーのも、コレは私もどーいう意味だろ?と思って観に行ったら結局、ズバリ例の名曲シャンソンのコトだった様です⇒あの曲のイメージが骨格と成っている・あの曲を流しながら終わってゆくべき映画だった、という(コレも)シンプルな手法のよーで。でも、随所で流れる数々の曲ってのは、有名なのもあればそーでないのもあるし、音楽的なジャンルも様々…である一方で、実に心地好い調和の下でその「物語り」を各自見事に遂行していたとゆーか、コレとかもまた卓越した手腕だったな+とゆーかコレって単に映画の空気感の醸成と言うより、正に監督の価値観とゆーか(或いは)人生そのものの曝け出しの方じゃなかったかな…と思わされてしまいましたよね。こーいうのを、こんなカタチでモノの見事にやってのけられるとゆーのは、別に表現者でも何でもない私からしても、実に本当に羨ましいコトだな…と(また)唸らされてしまいました。傑作。