1.《ネタバレ》 50年代はハリウッド製戦争映画の不作の年代で、本作もその中の一本。南部の大農園主であるR・ワグナーが徴兵されて(たぶん)フィリピン戦線に派兵され、農園の小作人たちと同じ部隊で苦労しながら人間性に目覚めてゆく、というのが大まかなストーリーです。アメリカは州兵単位で師団を編成するので、同郷の地主と小作人が同じ部隊で肩を並べて戦うというのはまああり得る話でしょう。軍隊はどこの国でも階級が同じならみな平等というのは大原則ですが、アメリカ南部のように貴族的な風習が残っているとちょっと面白いことになる場合もあるわけです。映画としては良くあるパターンなんですけど、それを戦争映画にしたところがユニークと言えなくもない。 この映画の唯一の見どころは、実はワグナーの上官であるB・クロフォードのキャラ設定なんです。異常に臆病で自分に対して敬礼をさせない(自分が指揮官であることがばれると狙われるから)。常に二人の美青年兵士に警護させていて、彼らとホモセクシュアル関係にあることが暗示されている。この二人だけは上半身裸で、実に変な雰囲気なんです。そんなクロフォードも解任されてしまいますが、そのとたんにきちんと階級章をつけた軍服とヘルメットを着用してジープに乗りこみ、あっという間に狙撃兵に撃たれて死んでしまいます。まるで覚悟の自殺みたいな最期で、名優らしい存在感がありました。