2.《ネタバレ》 前作がポーランドでの大学の卒業式で始まりコサックの留学生の位置を表したのと違い、この映画ではポーランド軍に雇われてトルコ軍と戦うコサックの立場から開始されます。戦闘が終わるとポーランド貴族が「後の憂いを絶つため」と称してコサック部隊への砲撃を命じ、それに素早く反応したブーリバが指し示す貴族の手首を切り落とすあたりのテンポの速さは見事です。しかし、復讐を誓った後に子供が産まれ、その子供は先進国であったポーランドに留学して貴族の娘(当時の美少女女優のカウフマン)と恋に落ち、その弱みから捕虜になったときに脅迫に負けて食糧調達の任務を引き受けることで一族を裏切ることになってしまう。この映画はポーランド支配下のコサック民族の悲劇と言うより美男・美女カップルの悲恋物語に矮小化されてしまっています。自分が産湯をつかわせた手で最愛の息子を殺さねばならない悲劇性も弱いものとなっています。この映画が契機でカウフマンはトニー・カーチスと結婚して引退したのは惜しまれます。