27.《ネタバレ》 終戦直前の様子がキリシマを舞台に淡々と語られる。 特に大きな出来事もなく。 静かな映画なので退屈してしまった。 【にじばぶ】さん [DVD(邦画)] 5点(2022-12-18 18:59:36) |
26.(2005年、テレビ録画視聴時のレビュー) 1945年の夏、終戦間近の宮崎県・霧島地方。沖縄戦も失敗し、すわ九州に上陸かという切迫した時代を描いている作品です。 太平洋戦争を背景にしながらも、反戦や平和をテーマにしてはいません。あくまで、その時代に必死に生きる人たちを描くことに徹しています。 この作品は、黒木和雄監督の実体験に基づいて作られているとのこと。康夫という少年は架空人物ですが、黒木監督自身の少年時代の姿がかなり色濃く投影されていると思って間違いないでしょう。 実体験に基づいているだけあって、この作品はリアリティに溢れています。可能な限り1945年夏当時の霧島地方そのままの姿を再現するよう、かなり細かいところまでこだわって演出しているらしいです。 言葉や服装や建物、その他諸々のモノが徹底的に忠実に再現されたおかげで、私のような戦争を知らない世代にも、当時の生活の様子がリアルに感じられるのだと思います。 この作品にはメッセージ性はまったくない。だからこそ私は新鮮味を感じました。 少年・康夫を演じている柄本拓という少年は、俳優・柄本明の息子。父親譲りのボヤッとした存在感が、この作品の味かもしれませんね。原田芳雄や石田えり、香川照之といったアクの強い役者たちに囲まれたボヤッとした少年がリアリティを生み出しているのだ、と言ったら言い過ぎかな。 【りょうち】さん [地上波(邦画)] 6点(2021-02-02 01:21:51) |
25.静かな映画。 こんなに静かな戦争映画は見たことない。 いい。 |
24.広島や長崎それに沖縄からも遠く離れた美しい大自然のキリシマ、グラマンが飛んだり竹槍訓練をしていても、戦争に無縁の地に思える。しかし、そこに住む人の心の中には様々な形で戦争が影をなしていた。学徒出陣ながら肺浸潤で仲間に加われなかった少年、密会を重ねる兵士と戦争未亡人?、義足になった男に嫁ぐ娘。やがて終戦、天皇は神様と教えられた人たちはどう受け取ったのだろうか。戦争とは何かを静かに問う。登場人物が多く散漫になりがちで、メッセージが伝わりにくい気もするが・・・。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-08-08 11:25:17) |
23.正直、石田えりさんの濡れ場シーンまでは見続けるのやめようか迷った作品。方言も本格的過ぎて耳に慣れずだったので。でもその濡れ場から色々な展開があり、最後まで観られた。戦争によって死生観を変えざるを得なかった人々のお話。柄本くんがまだ駆け出しで初々しい、が、それが仇となる。もう少しだけ感情を入れてくれたらもう少し良かったかな。 【movie海馬】さん [地上波(邦画)] 5点(2012-07-19 21:49:42) |
22.最初のほうでいきなり萎えたのが照明。屋根からぶらさがる電球や部屋の電気スタンドといった魅力的な光源を無視したライティングが気に入らない。と思って見てたら途中からいい感じになってきた。昼間の太陽の光の加減がすごくいい。夜の人工的な光がダメってことだったのだろうか。この照明ひとつでずいぶん印象も変わるのにもったいない。会話の切れ目のカッティングが面白かった。「戦争」をまじめに描くとなるとどうしても色々なエピソードが必要で、それゆえにどうしても散漫になってしまい、さらには退屈になってくる。この映画はその退屈さを小田エリカの純真な輝きでもってなんとか乗り越えようとし、大方成功しているように思う。 【R&A】さん [DVD(邦画)] 5点(2011-12-20 15:24:54) |
21.《ネタバレ》 「美しい夏キリシマ」とあるようにキリシマの夏の風景の美しさが印象に残る。そんな中、戦争映画なんだけど戦闘シーンは出てこない。戦闘シーンを描かずに戦争の苦しさ、戦争体験者の苦しみというものを描いている。予想に反して男と女の情事の場面もちらほら出てくるというのには驚かされたが戦地において生きる男女の葛藤、家族達の思い、美しいキリシマの夏の風景の中で見せるこの何ともやり場のない怒りのようなものがひしひしと伝わってきて黒木和雄監督自身が実際に戦争を経験しているからこそ描ける映画なんだと思いました。 【青観】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-08-27 21:57:56) |
20.《ネタバレ》 この物語は死者と共にある。 少年は、学徒動員先の工場で戦死した親友を見殺しにしたという意識に取り付かれ、薄ぼんやりとした生と贖罪の中で生きている。 全てをジャングルに置いてきたと語る片脚を失った傷病復員兵と不安の中で彼に嫁ぐことになった女。彼は自分は幽霊のようなものだと女に語る。 南方で戦死した夫を持ちながら兵士と関係する女、その兵士は満州で人を殺したと呟く。それを受け流す彼女の生は日常の中での生死の意識を軽々と越えている。 静かに特攻での決死の覚悟を報告する海軍将校とそれを受け入れる女。それは既に多くの死の上にある運命といえる。 死者は記憶となり、記憶は生者を縛る。そしてその風景の中で人は生きた。 石田えり演じる宮脇イネが事の終わりに兵士に言う。 「死んでるもんでも生きてるもんでもなか気色の悪かものになっていくのが恐ろしゅうて、気持ちよか」 彼女は、戦死したと思っていた夫が生きていることを知り、罪の意識の中で生と死に揺れる。兵士に導かれて死を選ぼうとするが、結局、その男にも逃げられ、入水も未遂に終わる。彼女は生と死の日常を拒み、死者すらも失って村を出る。 死と死者が日常を揺蕩う終戦間近のキリシマ。そこでの数日間の出来事を美しい自然と人々の心象の風景と共に綴る叙事詩。それが黒木和雄なりの当時キリシマに生き、死んだ人々に対する鎮魂歌なのだと思った。それは美しい夏に翳り、さざめく影となって僕の心を打った。素晴らしい映画だと思う。 【onomichi】さん [DVD(邦画)] 10点(2009-03-29 20:36:51) (良:1票) |
19.死に遅れた少年の目にうつる幻想の二週間。この監督、戦時下の日常にこだわってきた人だけど、リアリズムのようでいて、そこからちょっとはみ出すところがいい。ジャングルの湿気た雨の世界から生還してきた傷病兵が、こっちはずっと雨降っちょらんですねえ、とつぶやく。単に事実を述べただけなのだろうが、それだけで広がる青空がなにやら魔法にかかったもののように見えてくる。ラストの竹林の雷雨とそこにかかる虹が、単に虹としての美しさ以上のものに見えてくるのは、その魔法の効果だろう。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 6点(2007-10-03 12:22:25) (良:1票) |
18.《ネタバレ》 タイトル通りの美しい夏だった。ただ淡々と描かれる話もリアルだと思ったし、まさに真実なのだろう。映像も役者の演技も良かったし、ラストシーンは凄かった。激しい戦闘シーンを細かく描く戦争映画より、こっちの方が考えさせられる。 【マサ】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-08-07 22:10:20) |
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17.黒木監督晩年の終戦映画三部作の評価、私見では「紙屋悦子」→「キリシマ」→「父と暮せば」の順です。他の二作品が舞台演劇的な演出なのに対し、この「キリシマ」のみロケーションを最大限に生かした、空間的広がりを持った作品になってます。多感な少年期に終戦を迎えた少年を、柄本ジュニア君が上手く演じてました。やっぱりカエルの子はカエルなんでしょうか?脇を固める役者陣も充実。ラスト行進する占領軍に向かって、「殺せ!殺せ!」と走り続ける横移動の長い長いシーンが、この映画のクライマックス。これら上記の良心的佳作が、都内岩波ホールたった一館のみでの単館ロードショーになってしまうっていうのは、やっぱり今の日本映画興行界の問題点のひとつだと思います。 【放浪紳士チャーリー】さん [映画館(邦画)] 7点(2007-07-27 11:37:53) |
16.《ネタバレ》 “戦争で生き残る事の悲劇”が伝わりました。身近な人々が戦死や犠牲者となった時、生き残った者は生きている事自体を罪と感じる。私が今まで観た反戦映画とは別の次元での葛藤が描かれており、考えさせられました。戦争とは、“死ぬも地獄、生きるもまた地獄”なのでしょうか。 【ヨシオ】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-07-27 00:38:06) |
15.まあなんちゅうか、Fuckin'純文学。これがキネマ旬報1位か…日本アカデミー賞の商業主義もうんざりだけど、キネ旬の「俺らはモノが分かってるんだぜ」的な態度もどうなんだかね。いや、別に純文学的だからどうという事ではなく、単純にこの映画には観客を引き込む力がないと思いますよ。特に抑揚がなくてもグッと引き込まれてしまう映画は沢山あるけど、これはひたすら退屈だった。ひとりひとりの人間像が練れているようで練れていない。妙に登場人物を多くしないで、うちのひとりふたりに絞り込んだ話にしても良かったと思うけど。時間の進行もよく分からなかったし、映画全体が何だか散漫な印象だった。まあ、「美しい夏」というだけあって、確かに風景は美しかったけど。 【C-14219】さん [DVD(邦画)] 4点(2007-01-29 02:46:59) |
14.良作ですね~ シリアスに終戦間際の霧島が描かれています..物語としては、リアルな日常が淡々と進むので..ちょっと淡泊に感じるかも..しみじみと戦争を見つめ直すには良いかもしれませんね... 【コナンが一番】さん [DVD(邦画)] 6点(2006-09-28 12:18:49) |
13.《ネタバレ》 1945年8月を舞台にしているので、到達点が終戦であろう事は容易に想像できるんですよね。見ている方は知識として広島・長崎があり、そして玉音放送があり、という流れが判っているのです。それに対して映画は流れが曖昧で、その2週間ほどの物語が、一体どういう日数の進行をしているのかよく判らず(セリフから判る6日と9日の間が妙に日数が経過しているように思えます)、言葉足らずな感じがもどかしい映画でした。少年の両親が満州にいる、というのもかなり後になって語られますし(延々と原田芳雄が父だと思ってました)、石田えりが姉弟2人の母親であるという事が判るのも少し経ってからですし。点描される終戦直前の人々の生、だけど人数多すぎで、映画が終わった時点で、さて一体どうなっちゃったのかな?って登場人物多数。牧瀬里穂と、彼女を慕って来た特攻間際の兵士のエピソードなど、最終的に放置されてしまう分、その存在そのものがこの映画に必要だったのかどうかが疑問だったり。でも、そんな欠点はあっても、戦時下の人の日常が今となってはどれだけ異常であったのかはハッキリ伝わってきます。死が身近に存在し、生き残っている事の後ろめたさを感じ、理不尽な事を受け入れ、そして神を失ったという事実を受け入れなければならない、受け入れられないその時。悲しみも憎しみも、癒されるための答えなど誰も与えてはくれずに、ただ現実の中に放り出され、でも人の心がどうであれ、自然はそこにありのままに存在している、そんな映画でした。今もあの戦いの答えなど誰も出せないままに時は続いています。 【あにやん🌈】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-09-01 01:16:34) |
12.黒木和雄の最高作品と私は思う。同様のテーマの作品は、大島渚の『少年』などがあったけれども、これは監督自身の体験にもとづくだけあって、問題の深刻さと真摯さにおいて他をぬきんでている。また、主人公の少年と親戚の少女役の演技が、とても自然で、ただものでなかった。映像もふくめて、全体にすばらしい。 【goro】さん [DVD(字幕)] 10点(2006-01-01 02:02:02) |
11.全体的に戦争の虚しさや滑稽さを漂わしてはいる。このような作品は良い評価をしたくなるが、作品の登場人物に魅力的な人が少ない。人間は弱いのでいろいろ間違いをしてしまうものですが、登場人物は弱い人間というよりもだらしのない人間が多い印象。弁舌の立たない戦争体験の講義を聴いた感じです。映画の志に+1点という感じで。 【チューン】さん 6点(2005-02-08 12:47:41) |
10.15歳の多感な少年の目を通して、戦争、生と死、性を幾重にも重ね、丁寧に描く事から、何のために生きるのか、如何に生きていくべきかをジックリと考えさせてくれる。ただ原爆が落とされたとか戦争が終わったというセリフが余分だった気がする。何の前フリも無く、竹ヤリを持って進駐軍に突進していく少年・一発の銃声の方がインパクトがあって良いと思う。 【亜流派 十五郎】さん 7点(2005-02-06 23:30:12) |
9.あの瓦屋根と、その上にいる少女・波を中心に、いろいろな比喩を想像できる。良くも悪くも見る人次第の映画。俺はハマった。 途中、一歩間違えば虚構の世界に足を踏み入れかねない危ういストーリーの流れを、一人で現実世界に引きつけてみせた原田芳雄の名演が印象に残る。 【藤村】さん 8点(2005-02-03 22:43:39) |
8.一昔前の、古い日本の夏の雰囲気はよく伝わっていると思いました。その点は美しい。、、、、、またありきたりの戦争殺戮シーンを描くのではなく、戦時中の一人の少年の心象風景を通して戦争を描き、反戦を訴えようという試みであることも理解できます。、、、、、、、、、しかし、日本映画の多くが犯している誤りを、同じように犯していると私は思います。どういうことかというと、特定の主人公の心象風景を感情的にべったりと描こうとするあまり、その登場人物以外の人間達が、単なる風景になってしまい、その時代、空間に生き生きと存在しているものにならないということ。言い換えると生きた社会的な空間が生まれないということです。、、、、、そういう手法は自然の風景の美しさを描くには相応しいかもしれないけど、人間の世界は描けない。だから、この映画で伝わるのは、南国の自然の美しさだけなのです。、、、、あっそうか、「美しい夏キリシマ」っていうんだから、この映画、自然観賞の映画だったのか。 【王の七つの森】さん 4点(2005-01-29 23:37:06) |