2.《ネタバレ》 このフィル・カールソン監督、ロック・ハドソン主演、シルヴァ・コシナ共演の第二次世界大戦のイタリアの村を舞台にした、戦争アクション映画「要塞」。かつて場末の三番館で観ていたものを、今回、改めてTVのCS放送で再見。
主演のロック・ハドソンは、かつて「ジャイアンツ」「目かくし」「トブルク戦線」などでの男性的でタフなイメージで、アクション映画からロマンティック・コメディまであらゆるジャンルで活躍した俳優でしたが、惜しくもエイズで亡くなった時には驚いたものでした。この映画では、従来の明るいイメージのキャラクターから脱皮して、ヒゲをはやし、いかにも精悍な顔付きで、ニコリともしない不愛想で、だけど心の奥に優しさを包み込んだキャラクターを好演していて、彼の新しい魅力を発見した思いです。
そして、共演のシルヴァ・コシナは、ピエトロ・ジェルミ監督の名作「鉄道員」での清楚で可憐な演技が素晴らしかったのですが、その後、ハリウッド映画へ進出し、ポール・ニューマンと競演した「脱走大作戦」、カーク・ダグラスと競演した「ボディガード」などで、主演スターの添え物な役柄が多くなっていったのが残念な女優さんでした。
映画自体はドイツ軍に対するレジスタンス、それもこの映画では、ナチス・ドイツによって村を焼き払われ、父母や家族を殺された生き残りの少年たちが、パラシュート降下の際、生き残ったアメリカ軍の大尉、ロック・ハドソンの指導を受け、パルチザンとなって復讐していくというストーリーが展開していきます。
途中、この一行に女医のシルヴァ・コシナが加わり(彼女は実際ナポリ大学の医学部で医学を学んでいた才媛なのです)、彼らはドイツ軍の宿舎を襲ったりしながら、最終目的のダムを破壊するクライマックスへとなだれこんでいきます。最終的に、彼らは目的を果たすのですが、最後に残るのは戦争の虚しさだけ------。
アメリカ映画ですので、どうしても戦争の悲惨さや愚かさを描くというよりも、戦争娯楽アクションという枠組みの中で、大いに楽しんでもらって、その中に、戦争反対のメッセージも匂わせるという内容になるのは仕方がないのかも知れません。