1.《ネタバレ》 いわゆる夢オチというような展開で終盤にアッと驚かされます。ある意味「バニラスカイ」のような手法を使っているのですが、こちらの作品は「バニラスカイ」のように難解な設定にしていないので気持ちよく理解できます。
初めは苛立っていた乗客達が停留所での生活を送るにつれて次第に心が通じ合うようになり、楽しくて仕方がないようになります。先を争うように乗車の順番をめぐり喧嘩していたのに、最後は「行きたくない」と逆に譲り合いの喧嘩となるぐらいです。婚約者のいる女性と青年が恋心を抱き見事に結ばれたり、妻を亡くした停留所の所長と未亡人がこれまた恋仲になったり、不仲だった夫婦が愛情を取り戻したり、寂しく年老いてきた老人が死ぬ間際にたくさんの人に囲まれて死を迎えることができたり・・・と、物語があまりにも出来すぎる展開で進むので、いい加減嫌気がさしてきたところで“夢オチ”が待っています。これは上手い。夢なので理想的な展開になるのは当たり前。見る側は「アッそうか!やられた!」というようになってしまいます。
目が覚めてからは、うって変わって現実的な展開となります。夢と現実の対比(ギャップ)に、なにか寂しい感じがしてくる。それほどのめり込んで見ていた自分に気付きました。最後もこちらが気持ちよくなれるような“オマケ”が有って嬉しくなってきます。
ただ、一つ「んん!」という箇所は、停留所に泊まった乗客全員が同じ夢を見ていたことです。それを考えると、この作品はファンタジーの要素が有るのかも知れません。