10.小津映画のポイント(常套句とも言うか?)が全部まとまって出てきて、これを見とけば、後の映画は全てバリエーションとして捉える事が可能。個人的には、この作品が小津作品の中で一番好きです。 |
9.ヘーゲルは、愛の共同体としての家族は、子どもの自立によって必然的に壊れて行くものだと喝破した。小津は、ヘーゲルのテーゼを、幾度も幾度も日本的な情感を込めて映像化する。つまり、小津が描いたのは、家族ではなく、離婚、子どもの結婚、死などによって、家族がこわれて行く過程である。、、、、、、、「麦秋」では、名前だけしか登場しない「正二」(字は不明)が案外と重要な位置を占めているように思えた。ほぼ固定されたカメラの視点は、南方で戦死した正二の霊が、親しい家族のところに戻り、見ているように感じられたからである。ヨーロッパ的に、上から見下ろす神の視点ではない。下から、親しいものを見守る、優しいまなざしである。そしてその眼差しを意識するとき、平凡な家族の空間は、オルゴールの音色、女声コーラスの声とシンクロしつつ、神話的な空間に高まっている。、、、、、、その一方で、これは時代の記録でもある。、、、、昭和20年代、30年代については、例えばNHKの「東京風景」などの記録があるが、小津の映像と、どちらが的確に時代を映し出しているのだろうか。私は、小津の映像だと思う。 【王の七つの森】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-07-18 01:21:11) |
8.冒頭の食事のシーンのカットの多さに驚く。誰かが卓につく、誰かが卓を立つ、そのたびにカットが割られ、人物が動いてもカメラは追わず、家中を歩き回る人物の先にカメラは先回りしてどしっと待っている。人物が画面から消えようとするとまたすぐに先回り。さらに卓を囲んだ家族を捉えたカメラが今度は真向かいに移って家族を捉える。ゴダールの『勝手にしやがれ』よりも先にこの左右が入れ替わっちゃうカット割りをしている。しかしゴダールと違うのは、ちゃんとカットとカットが繋がっているところ。カットを割るところで必ず人物の動作が入る。立ちあがったり、振り向いたり、お茶を飲んだり。凄い!この食事のシーンだけでも、ずっと見ていたいと思いました。そして怒涛のカット割りの中、けして動かなかったカメラが宴会(舞台?)の客席を映すときに静かに動く。アッと思ったら、今度は誰もいない廊下をス-ッと前に進みながら映すときに、はじめてかもしれない音楽が入る。ひえぇ~となる。ストーリーとは関係ないところでこんなに感動したのは久々です。もちろん内容もいいよ。会話にみられる小津節が冴えてます。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-06-22 13:19:29) |
7.「アンパン食べる?」完璧に練られた脚本を象徴するこの一言。 【藤村】さん 7点(2004-02-13 13:43:47) |
6.「晩春」ではまだ自ら望んでというより、周りに薦められ、父への反発などから結婚する女性でしたが、今作では周りの反対がありながら自ら求められる所へ望んで結婚する。日本の女性のスタイルというのが徐々に変化してきていたのだろう。 【亜流派 十五郎】さん 6点(2004-02-10 14:50:02) |
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5.とてもよかったです。杉村春子さんいい感じです。好きなシーンは「ねぇ~ねぇ~」のとことか「ん~ ん~」とかがなんか好き。原節子と三宅邦子のやりとりもいいです。あとケーキ隠すシーンなんておもしろいです。 【バカ王子】さん 9点(2004-01-11 05:56:16) |
4.この2年後の「東京物語」の姉妹編のようなところもある作品。大人と子供、(紀子の友人たちの)未婚者と既婚者、兄嫁とのやりとりなどユーモラスで楽しい。周りが結婚を心配する紀子は他作品の紀子像に比べるとこれが一番自然で主体的な性格に見え好感が持てる。4世代にわたる家族や、他の登場人物たちのお互いを思いやるやさしさが感じられこれが一番好きといっていいかも。 【キリコ】さん 8点(2004-01-10 13:16:15) |
3.ある時代が終わって別の時代が始まる転換期が、刈り入れどきだけど初夏でもある麦秋を背景に描かれて、ちょうど泣き笑いのようにかなしいのかうれしいのかわからない感覚になりました。もちろんこんな一言ではすまないような解釈の余地があるようにも思える映画です。古い映画だからああいう独特の雰囲気かとおもっていたら、ほぼ同時期で重複するキャストで『長崎の鐘』という映画(良い映画ですが)を見たのですが、全くといっていいほど雰囲気が異なっていましたので、小津さんの色ということなのでしょう。 【its】さん 10点(2004-01-05 01:04:56) |
【STYX21】さん 6点(2003-11-19 01:14:44) |
1.小津のなかで一番好きな作品かも。縁談を断り、妻と死別した二本柳寛のとこへゆく原節子に当時の日本の新しい女性像を見た気がした。杉村春子と原節子のやりとりもよかったなー。 あと、子供をうまく取り入れているので、アクセントがついていると思うっす。 【たましろ】さん 10点(2003-10-13 20:24:58) |