1.これはあくまで映画。ここまでベートーベンの人生が波瀾に満ちていたかは甚だ疑問だが、ラストの「第九」の合唱はとても感動的だった。作品もさることながら、ベートーベンの音楽はやはり最高である。しかしこれはあくまでも映画・・・学術的に言えば決して素直に笑えない部分もある。「第九:歓喜の歌」はこの作品のキーワードにもなっている。その意味は「大いなる苦しみを経て歓喜へと至る」。そう言われるとこの作品のクライマックスに相応しいと取れる。しかしそもそも交響曲に歌詞を付けたのはベートーベンが初めて。最初は歌詞の無い楽譜を予定していたらしいが、演奏前になって無理に合唱付きの楽章を加えたらしい。しかも耳が不自由なのに指揮までしようとした。映画では触れていないが、「第九」は劇中の初演で演奏されて以来、その後演奏されなくなっている。その理由は、耳に障害があることも災いしたのか、当初の「第九」には各楽章にミスがあり、そのままだとまともに演奏することが出来なかったそうだ。後に「天才は間違いでさえも偉大であった」と言われることになる。どちらにせよ、これはあくまで映画。“不滅の恋人”捜しに重点を置いているのであるから、事実に基づいているかどうかは別物と言うことで・・・