1.生活臭がなく根無し草のような自由奔放に生きてきた中年女性グロリア(彼女はギャングのボスの元情婦)が、ひょんな事でギャングから命を狙われるプエルトリコ系の子供を守るはめになり、ニューヨークで逃避行を続ける。本来子供嫌いの女と、人を信用するなと教えられてきた子供(怯えて、彼女にまとわりつく姿がいじらしく切ない)は、当初互いに反目しあっているが、やがて彼女に母性本能が芽生えていく。「母親になりたい」という、彼女が初めて知ったもう一つの生き方。その志を拒む者を、彼女は先手必勝で躊躇することなく、次々と正確に撃ち倒していく。たびたび描写されるタクシーを呼び止める姿なども含め、とにかくグロリアの男まさりで惚れ惚れするようなカッコ良さは他に類を見ない。哀愁をおびた旋律のテーマ曲も、この作品をさらに引き立てている。(近年のリメイク版は似て非なるもの)