1.やわらかさと切なさがリンクしたすてきな作品だ。みんなで仲良く食卓を囲む、ご飯をつくる、買い物をする、同じ部屋で寝るというような普通のことが、ものすごく温かい感情の集合であることが分かる。おそらく、登場人物のみんなは、不思議女子高生「ふふみ」を除いて、結構タフな人生を送ってきたのではないかと思う。でも、そんなタフさの中に奇跡的に実現した「普通に」あたたかい時間!! この監督の作品は、画面上は幸せに満ちた雰囲気をかもし出しているが、その幸せな感じが限られた時間にだけ成立するものだったり、映画の終わりと共に終わってしまう幸せであるという切なさを描くのとてもうまい。だるまちゃんとてんぐちゃんのモチーフも出てくるし、ピアノの粉末や三日月しずかも出てくるわで、お約束の部分でも大サービス! ついつい岸部一徳を探したくなる一本になってます。