5.あれ、今まで何度か観たヤツでは、冒頭の演説シーンがラストにもあったと思ったけど(ただし冒頭よりもやや口調が柔らかい)、今回観たヤツではパットンがどこか遠くへと立ち去って終わっちゃった。ちょっとカッコつけ過ぎじゃあないですかね。この映画、頭悪そうな邦題がついていますけど(笑)、戦争映画というより伝記映画。ドイツとの戦争が終結してなお、映画が続き、むしろその後日談においてパットンの本領発揮みたいなところがあるのが面白い(何だか今回観たヤツは、“戦後”の部分が物足りなく感じちゃう)。このユニークな脚本を書いた人ってのが、映画監督のコッポラって人らしい、と言う訳で、私は子供の頃、コッポラってのは何だかとってもエライ万能人であるかのように思ってました。今ではどっちかというと、本作の脚本がとりわけ優れている訳ではないような気もしてますが。エピソードの羅列になっちゃってる感じ(そこがコッポラらしいのかも?)。敵の爆撃機に拳銃で応戦しようとするとか、アフリカで自分の前世を暗示する場面とか、兵士殴打事件とか、色々エピソードを盛り込む割にはそれが単発で、彼の変人ぶりを描くことに関してはやや未消化な感じも。一方で、戦闘シーンのスペクタクルばかりに頼ることなく、パットンの足跡を追うことに専念しつつ(「歓迎パレード」のシーンであったり、背景を変えながらひたすら続く「行軍」のシーンであったり)、その中で、パットンの変わっていく面と変わらない面を描いて行くのは、やっぱり上手いと思います。最初の方では「こんな頑固親父、皆に嫌われて、生きてて楽しいのかね」と思われるパットンが、だんだん愛すべきキャラに思えてくる。ジョージ・C・スコットの一直線ぶりがいい(そして脇にひかえるカール・マルデンのデカ鼻もいい)。パットンが、行軍の邪魔になるロバだかラバだかを容赦なく射殺する前半と、活き活きとした表情で楽しそうに行軍の交通整理をする後半。うーむ。何だか星野監督の中日時代と阪神時代みたいではないですか(……この喩えはイマイチでしたね、すみません)。歴戦の中で角がとれて丸くなったようなパットンだけど、反骨精神は最後まで貫いて見せる。あのペットの犬もイイですね、どこからあんな犬見つけてきたんですかね。「魅力ある主人公」映画部門、第1位に推薦いたします。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2012-04-15 08:23:53) |
4.アカデミー賞受賞作であるが、苦手な戦史物であることや長い上映時間を敬遠して今まで見てこなかった。最近DVDで見てもっと早く見ればよかったと思いました。これは傑作ですね。泣けるような話ではないのに、ラスト近くではなぜか泣けてきました。最初はこんな上司はいやだなあと思っていたパットンですが、自ら危険な前線で積極的に指揮し、部下の死を心から悼み、きっちり戦果もあげる・・仕えているときは最悪でもあとになってからいい上司だったなあと心から思える上司ではないでしょうか。戦史ではなくパットンという魅力的な人物の実像に迫った作品で戦史物が苦手な人でもまったく問題ありません。それにしてもパットンの舌禍をここぞとばかりにたたくマスコミの醜悪さは今も昔も変わらない。その点がなんか腹立つ。 【陽炎】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-02-05 20:52:36) |
3.長いのに飽きないのは、人間の性格の描写に主眼をおいているからでしょう。 淡々と史実を語るだけの話だったら、このようなおもしろい作品にはならなかった と思います。 【しまうまん】さん 9点(2004-06-12 10:28:21) |
2.戦闘シーンが売り物の単なる戦争映画かな、と途中まで思ってて、見るのやめようかとしてたところ、人間関係での失敗エピソードあたりから急激に面白くなった。一生を捧げて戦争に求愛し続けた不器用なおっさんの不器用な生き方。関わるのはイヤだし見習いたくもないけれど、なぜか後姿の寂しさには共感してしまいました。 【ラーション】さん 9点(2004-02-12 17:52:40) |
1.哀しい伝記です。DVDの特典で人物解説をやってましたが、家の鏡の前で怖い顔を練習していたんだとか・・・この作品では彼の軍人としての面が彼の全てみたいに描かれてますが、戦場ではあそこまで「根っからの軍人」にならないと耐えられないのかも知れないですね。 それと、私はこの作品を見てて「項羽と劉邦」の韓信を思い起こしました。大将軍として楚に恐れられ、漢帝国建設の三本柱の一人として讃えられながら、平和な世の中になってからの彼は主君である劉邦に殺されるという、、、 「偉大なる時代遅れ」は、本当に儚く、哀しい。 【wood】さん 9点(2003-02-05 22:58:01) |