1.これは素晴らしい日本映画!
本作は、バレー部に所属している「桐島」がいなくなり、それによる変化が起こる様を描いています。
桐島をよく知る人物には直接的に、ほとんど接触がない人物には間接的にそれは訪れます。
その変化は初めは「ほんのちょっと」だったけど、やがて大きな波となり、登場人物に襲いかかります。
その過程に、ゾクゾクしっぱなしでした。
高校生の「格差社会」がしっかり描かれていることも面白いです。
特に作中の「映画部」はヒエラルキーの底辺にいるような存在で、他人に蔑まれていいるような描き方にはニヤニヤしてしまいました(こう言うと意地悪ですが)。
構成も特殊ですが、それも成功しています。
本作は同じ時間軸をたびたび繰り返し、複数の視点から登場人物の行動を描くという「羅生門」スタイルです。
このおかげで桐島がなくなった日のそれぞれの登場人物の「反応」が多角的にわかるのです。決して奇をてらっただけの演出になっていません。
高校生以下だとこの映画の面白さはわからないかもしれないけど、大人になると「自分の高校生活を思い出すと似たようなことがあったなあ」と回想できる面白さがあると思います。
ある意味大人よりもやっかいで、うっとおしいような人間関係。
それは大人になった今になると、なんとも愛おしく感じる「痛面白さ」なのです。
ラストも素晴らしいと思います。観たあとは最後の「あの人物」の行動を思い返してみることをおすすめします。
あとアベンジャーズに対抗して「ハリウッドよ、これが日本映画だ」と銘打ったキャッチコピーもGJ。