1.ノルウェー製の公道レース映画。邦題通りというか何と言うか、冒頭のクレジットでこの作品、ハル・ニーダムに捧げられてます。そりゃこの映画を無理やり誰かに捧げるとしたらそうなるかも知れんけど、そもそもハル・ニーダムってヒト、映画を一本、捧げる対象ではないんじゃないかと。
カッチョよいクルマがフィヨルドの国を走りまくる。あの素晴らしくダサいハル・ニーダム作品よりは、ワイルド・スピードに近くって、そこに若干の、TOKYO DRIFT風味。笑っちゃうほど見事なドリフト走行。ただし主人公とそのライバルは、いい感じにダサい。
お姉さんドライバーも出てきたり、ジャック・イーラムほどポンコツではないけれどいい感じのジイサンも出てくるあたり、微妙にキャノンボールに対する目配せも。
あくまで公道レースなので、アホらしいクラッシュシーンなどは無く、まあ、一部の荒唐無稽なアクションを除けば、走っているだけなんですけど、そんな映画をなぜノルウェーで作らにゃならんのか、と言えば、これは見て納得。舞台は、アメリカには無い景色。夜中に始まったレースから、夜が明けてくるとそこには素晴らしい眺望が広がります。その北欧の自然を、クルマが駆け抜ける。草原に刻まれる、タイヤの跡。
そうやって展開されるレースの中に、親子の物語が織り込まれますが、それが決して押しつけがましいものではなくって、「そうそう、親子ってのは結局、こんな感じだよね」という、味わいがあります。夕刻とともに近づいてくるゴール。
なーんか、ジワっとくるものがあります。
で、大満足の8点! のはずだったんですが、ラスト1秒で急遽、9点になりました。ごめんなさい。けど、この気持ち、ご覧になった方には、理解していただけるんじゃないかと。
この作品、ハル・ニーダムも草葉の陰で喜んでいると思います。