16.『キッズ・リターン』の次に製作された作品とあって期待したのですが、いやぁこれは期待を上回る見事な作品でした。ヤクザ、殺し、銃、そしてバカヤローの連発。北野映画ど真ん中の作品ですが、じつに静謐な印象を持つのは極めて抑制された台詞と、極めて絵画的で年密に計算されたカメラワークによるものでしょう。序盤、車のボンネットに置かれた弁当もあの位置以外考えられず、西と土建屋の関係を弁当が雄弁に語っています。この映像に付け足す説明は何一つ不要であり、それゆえ台詞など必要ないのです。また中盤および終盤、上空から地上を垂直方向に映し次第にカメラが下降してゆき地面に対して徐々に水平方向を映すカメラワークに鳥肌が立ちました。文章にすると大したことないのですが、実に素晴らしい映像体験でした。唯一の難点は映像が全てを語っているがゆえに久石譲の音楽は登場人物の感情の機微をかき消すようで蛇足に聞こえます。2010年観納めの映画として相応しい大変良質な作品でした 【さめがい】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-01-02 12:46:00) |
15.相変わらずちょっと大袈裟な久石譲の音楽と、しつこい劇中画は少し気になるが、基本的に静かな映画であり、その静けさと同居し得ているバイオレンスシーンが鮮烈。 ストーリーの筋は絶望的であるのに、夫婦間のシーンはとても微笑ましく、時に挟まれるコミカルなシーンも浮いていない。 他人といるときは無表情で心ここにあらず。敵と認識した相手には容赦も躊躇もない徹底的な暴力を振るう。そんな男が奥さんに見せる表情がとても優しく温かい。 ここまで極端でないにしても、残酷さと愛情と悲しみは誰しもが併せ持っている物であると思うし、生きている限り死は人間の永遠のテーマであるわけで、好き嫌いはあるにしろ、どっかしらで共感できる部分があると思います。 ポジティブとかネガティブだとかそういうレベルの話でクドクドと語らせない、こういう冷静なタッチで描かれた作品はとても好きです。たけしの哀愁はやはり特異。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-08-09 01:28:11) (良:1票) |
14.かなり面白かった。 所々にある暴力によって優しさが引き立ってる感じがした。 ただ絵のシーンはしつこすぎるような気がしないでもない。 ソナチネに次ぐ武の傑作。 【トクタ】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2005-12-04 16:47:13) |
13.テーマは、日本的伝統である「心中」なのだろうと思いました。、、、、もちろん、最近でも、病気を苦にしての心中、将来を悲観しての心中というのは、珍しくはありません。しかし、そうした心中は、片方は、身体的にも社会的にも健在なのですから、ある意味では責任の放棄で、同情の余地はあっても、美しくはありません。、、、、、この映画で追求されているのは、美しい愛の形としての、それ以外に選択の余地はないような心中。、、、、西刑事は、妻が不治の病であることを知らされた瞬間から、心中を心に決めたのでしょう。ただし、美しく、不可避の心中を図るためには、自分の死も必然となるようにしなければなりません。そのために彼が選択したのは、自らの社会的な生の抹殺。彼が弾痕を打ち込む犯人やヤクザは、自らの社会的存在でもあり、だから、彼が弾痕を打ち込むほどに、彼の社会的生命は砕かれ、ともに死を迎える存在として、彼は妻に近づくことができるのでしょう。、、、、、、、、、、どうしてもわからないのは、「ありがとう、ごめんね」の「ごめんね」がどうして必要であったのかということ。そして、西刑事は、そこまで愛する妻を一発目で本当に撃てたのか、ということです。、、、、、最後の娘の表情からして、二発とも空に向けて撃ったということはなさそうです。二発目は確実に自分に撃っているでしょう。では一発目は、、、?、、、その答えは、それぞれの見る人が理想とする愛の形によって決まるのかもしれませんね。 【王の七つの森】さん 9点(2004-11-29 13:47:33) (良:1票) |
12.この作品は所々で用いられる絵や、美しい旅行での風景などから、夫婦愛や、命の美しさ、自然の美しさを表現している芸術作品として監督はこの映画を作ったんだと思う。かといって、主人公が子供も先立たれ、奥さんも残りわずかの命となったのに対し、同僚は奥さんと子供に逃げられてしまうという設定にしていて、美化しすぎていないのが良かった。そういう意味でヤクザを多様したのはあまり良くなかったような気がする。それでもこうして芸術として映画を作れたこの作品は、奇抜だし価値があると思う。 【カジ】さん 9点(2004-03-09 15:27:57) |
11.文句無しに9点(事実上の最高評価)。日本映画史上屈指の作品。 【藤村】さん 9点(2004-02-19 09:16:30) |
10.ソナチネまでの北野映画の主人公は、クールなバイオレンスで、だた一人死に場所を探し積極的に死を求めてるイメージが強くあった。HANA-BIは妻という存在が今までにない部分であり、これ以降の映画には、愛と死または別れという部分が濃くなっていった。愛という部分も言葉で語るわけでもなく、セックスで表すわけでもなく、映像の中から観客それぞれが感じて読み取るといった形であり、受け手によって様々な受け取り方のできる映画である。チョッとズルイ気もするが、その繊細な愛情表現や死生観と映像とが大変マッチしている。 【亜流派 十五郎】さん 9点(2003-12-23 10:41:43) |
9.映像が凄くきれいだった、出演せずに監督に専念してほしいなぁ。 【ゆきいち】さん 9点(2003-12-18 02:17:08) |
|
8.たけし映画の射殺シーンや暴力シーンはほんとに怖くて苦手なんですが、夫婦の情がほとんどセリフもなくこれだけ伝わってくるのはすごいの一言です。西の生き方はけしていいとは言えないけど、なぜか否定もできない。凶暴さと優しさのギャップがそう感じさせるのかも。ラストはほんとにせつなくて悲しかった。海の色が印象的。そして久石譲の音楽。今も頭の中で鳴っていて泣きそうです。 【きょうか】さん 9点(2003-11-21 18:16:59) |
7.痛々しい場面、人を殺す場面。そういう場面もあるが、映画全体はとても美しい。これこそ、美しい映画。 【T1】さん 9点(2003-11-11 20:48:19) |
6.【STING大好き】さん の言われるようにこの作品には日本の美というのが大きなテーマとして存在する。寺の鐘の音、蛍、雪、桜、花火そして寡黙な男と一途な愛が終始、今では感じることの少なくなった日本の美を感じさせる。そしてまたまた【STING大好き】さん の言われるように撮影や編集の際の巧妙な仕掛け(映画を作るうえでのいろいろな技術)が映像の美として、そして一本の映画としてホントに楽しませてくれる。特に無声映画における音楽のように、会話の無い画面に久石譲の緩急つけた音楽が各シーンに色を付け説得力あるシーンにしているのがいい。確かに、劇中に描かれる絵はいいが、病院や金融屋の事務所、喫茶店などやたらとバックにこれでもかと絵があるのはあざとく感じます。肝心のストーリーのテーマは、「ありがとう ごめんね」この言葉に集約されてるように思います。 人間、ひとりでは生きていけない。青い空に響く2発の銃声、花火だったらいいのに...。 エンドロールの間、そんなふうに思っていました。 【R&A】さん 9点(2003-10-15 13:18:18) (良:2票) |
5.正直、HANA-BIよりソナチネのほうが平均点が高いのには驚きを隠せません・・・笑。ソナチネも、もちろん素晴らしくて大好きですが個人的には数ある北野作品の独特な雰囲気に加えて愛も描かれているこのHANA-BIがベストです。ちょっと、自分のセンスの自信が危うくなってきた・・・笑。 |
【5656】さん 9点(2003-02-18 22:03:09) |
3.○○○賞受賞っていうのは疑ってかかる方だけど、これは文句なく良かった。全体的に殺伐とした雰囲気の中にふとした安らぎや優しさがある。北野武は、「無口なんだけど実はシャイなだけで優しい」って役だと本当に上手い。単に喋ると芝居がかっちゃうだけかも知れないけど。最後ああいう風に終わってしまうのは北野映画のお約束なのかな・・・。 【C-14219】さん 9点(2002-08-08 14:03:41) |
2.オレはHANA-BIは花が美しい→花-美、そしてラスト前の線香「花火」の二つがかかってると思った。そっかー。銃は欠かすことができない小道具ですよね、なるほど。いろんなシーンの撮り方や小道具の使い方等で本格的に映画の勉強をするきっかけになった作品なので思い入れ深いです。なのでこの点数。もちろん個人的にも大好きです。 【七郎】さん 9点(2001-12-02 03:38:24) |
1.北野監督は熟してきたなあ、という作品でした。いくら男の責任をとるといっても、危ない所からお金借りてトラブルになっているのでは責任をとっているとはいえない。そこに目をつぶればあとは好きなシーンばかりです。自決の絵に飛び散る赤が〇でないとか、タオルに〇〇の武器、このような仕掛けで喜んでしまうアタイです。 【チューン】さん 9点(2001-11-28 02:40:26) |