7.会話も行動もすべてモニタリングされて身動きのとれない主人公がどう反撃するのかという物語は『24 season1』を彷彿とさせるのですが、これが『24』の足元にも及ばない程つまらない映画で驚きました。犯人側の計画がザル状態だし、おまけに彼らは『ホームアローン』の泥棒クラスの間抜けぶりで、サスペンスがまったく盛り上がらないのです。だいたい、犬一匹殺せない連中に観客が恐怖するわけがないでしょう。この手の巻き込まれ型サスペンスでは、犯人側を描写すると一気にスリルが減退するという好例となっています。それに対する主人公も大バカ野郎で、部外者に助けを求めるチャンスはいくらでもあったにも関わらず、犯人側の要求にバカ正直に応じ続けてどんどん深みに嵌っていくという有様。その割に、妻が自分を裏切っていたとする犯人側の偽装工作はいとも簡単に見破ってしまうという謎の直感も持っており、何を考えて書かれて脚本なのか、理解に大変苦しみました。。。
『フランティック』や『逃亡者』などハリソン・フォードはこの手の役柄を得意としてきましたが、本作ではさすがに歳をとりすぎて映画の雰囲気を損なっています。設定年齢と実年齢の乖離があまりに大きくて子供達が孫にしか見えないという状態であり、家族愛という本作の大きな柱を主演俳優自身がへし折る形となっているのです。そもそも、最新技術を操るエンジニアには見えないし、なぜハリソンさんがキャスティングされたのかがまったくの謎です。