1.正直、期待していた分肩すかしを食らった感は否めない。なんとなく、やろうとしていることがいちいちポイントからずれている、あるいは足りない印象を受けた。生肉にしろ、入れ墨にしろ、もっと思い切りグロく映せばいいのなあと思った。肉のたるんだ娼婦は良かったけど。謎めいた登場人物たちも、いまいちなりきれてない感が拭えずどうも世界に入り込めない。なにより私にとって致命的だったのは主役の俳優さんの演技の下手さ……この人の間の抜けた「はあ!?」「ええっ!?」で何度と無く神経を逆撫でされ現実に引き戻された。味であるとか役柄に合っているとかそういう問題を超えていた。だが寺島しのぶの存在感はすばらしかった。今も思い出すと、この人の白いワンピースと艶っぽい微笑みは鮮明に蘇る。うーん、惜しい作品でした。