5.中東で石油を巡ってグローバル企業が方もモラルも無視して日夜綱引きを行い、そこにCIAを始めとする各国の諜報機関、時にはテロ組織もが暗躍していることなど、今さら事細かに言われなくても大昔からわかっていることで、わかりきったことを大真面目に映画されてもなぁ、という印象。もちろん、これだけ硬派な題材を取り上げたからには、それなりの意志はあるんだろうが、もっと新事実を引っ張り出してヤバい部分まで踏み込まないと、どこかで見たり聞いたりした話を焼き直しただけの、娯楽性の薄い社会派映画でしかない。劇中では触り程度しか触れられなかったが、現実ではハーケン・エネルギー社を媒介にした恐ろしくロクでもない連中なんてのがいるわけで、ビンラディンとブッシュ親子はグル、ということをきちんと描かない限り、実話を元にしたと言って箔を付けても、石油を軸にしたポリティカルサスペンスなど描いても意味がない。