1.ジョナ・ヘックスが復讐の鬼と化す過程は数分のイントロで処理し、いきなり本筋に入るという構成となっていますが、こんな処理が許されるのは歴史も知名度もある『インクレディブル・ハルク』クラスのヒーローであって、ジョナ・ヘックス程度の知名度でこの処理は少々厳しいと感じました。また、ヒーロー・ジョナ・ヘックスの誕生に深く関与したクェンティン・ターンブルをヴィラン(悪役)とした本筋の内容から考えても、両者の因縁の源流となる導入部分はしっかりと描く必要があったと思います。。。
本筋は本筋で、これまた著しく盛り上がりに欠ける仕上がりとなっています。ヒーロー誕生の過程を削った以上、映画はいきなりサビから突入し、理屈抜きの大暴れが見られるものと期待したのですが、チマチマとした小競り合いばかりで派手な見せ場はありません。さらにはジョナ・ヘックスが異常なまでに弱く、派手な大暴れどころか地味な戦闘ですぐピンチに陥ってしまいます。生身の人間との1対1の殴り合いで劣勢に立たされるに至っては、トーマス・ジェーン版『パニッシャー』をも下回って史上最弱のアメコミヒーローに認定してしまった程です。死者と話せる能力が大して役に立っていなかったり、お供の馬・犬・烏が見せ場になると行方をくらましてほとんど存在価値がなかったりと、本作は基本設定までを持て余している始末。俳優たちはなかなかのハマリ具合でシリーズ化すればそれなりに盛り上がった可能性もあっただけに、内容のみすぼらしさが悔やまれます。