1.地元の映画館では、3D版の日本語吹替版しか上映していないという“暴挙”を繰り広げられたため、劇場鑑賞をやむなく諦めレンタル開始を心待ちにしていた今作。
同監督作品の「300」が個人的にかなりツボだったので、同作と同じような非現実的な映像世界をトレーラーで観た時点で期待値がMAXに上がっていた。
好き嫌いは大いに分かれるのだろうが、きっと個人的には没頭出来る映画世界を繰り広げてくれるのだろうと、期待感を保ったまま鑑賞に至ったが、結果的には大いに残念な仕上がりだった。
映像世界は確かに凄い。ひたすらにクリエイターの趣味趣向に突っ走ったビジュアルには、映像表現における“果てしなさ”を感じる。
ただし、「スゴイ」と感じる反面、それがそのままカタルシスに繋がってこない。
ただただ作り込まれたPVかゲーム映像を見ているような感覚に終始陥ってしまう。
敗因としては、ストーリーがあまりにチープすぎたことが挙げられると思う。
「300」もストーリーはあってないようなものに思えたが、それでも主人公らの「目的」ははっきりとしており、ストーリーがシンプルであることが登場人物らの意志の強さを際立たせていたのだと思う。
悪辣な精神病院に放り込まれた主人公の少女、彼女の「現実」での行動は映さずに、精神世界の葛藤のみを膨らませ破天荒なまでに展開させるストーリー設定は、とても込み入っているように見えて実のところとても程度が低い。
結果、作品の中で発せられる言葉のすべてが薄っぺらに感じられ、揺さぶられるものがまったくなかった。
どうしても酷評が先行してしまうが、好き嫌いは紙一重だったとは思う。好きな部分も沢山あるが、最終的には「思ったよりも没頭できなかった……」という印象が全てだったと思う。
子供の頃、友達の家に遊びに行って、友達らが遊んでいるテレビゲームを延々見せられたことがあった。当人たちは楽しんでいるのだろうが、僕は退屈で仕方が無かった。
なんだか、そういう古い記憶が蘇ってくる映画だった。