1.阿部定事件を元に彼女の人生に重点をおいて描かれた作品。何故彼女が情夫を絞殺し、陰茎を切り取るような奇行に走ったのかという事よりも、彼女の波乱万丈な人生を重点に描いているので事件の核心には迫っていません。ただ終わり近くに警察に逮捕された当時の写真が映るシーンがあったのですが、彼女を含む全ての関係者が全員何故か笑っているモノで、これはある意味その辺の心霊写真よりも恐ろしかったです。強引極まりないテーマソングに、薄っぺらな展開にはイマイチこの作品の良さが解らなかったのですが、実話&大林監督と言う事を考えると仕方が無いのかもしれませんね。ハンセン病の岡田とのシーンは強調的に表現されていたのが印象的でした。でも大島渚監督の「愛のコリーダ」とは違い、様々なセックスシーンを滑稽に思えるように撮ってしまったりするあたり、この監督ってやっぱりこういう事にはあまり興味がないんでしょうね。キャストに関しては黒木瞳って綺麗かも知れませんがどうもセックスシンボルにはなりえず、嶋田久作は明らかに演技不足で不快に感じました。