4.ハリウッドのアクション映画のような筋立ての邦画で、設定にかなり無理を感じるし、演じている俳優陣はシリアスな演技を見せているのに、映画は最初からコメディーっぽいリアリティの無さを感じさせていて漫画が原作なのかと思ってしまう(原作は漫画家が書いた小説。)し、人間ドラマとしても魅せたかったのだろうけど、それもかなりの中途半端さを感じていっそ人間ドラマは排除してしまったほうが良かったのではと思う。でも、疲れていたせいか何も考えずにポカーンと見るにはちょうど良く、思ったよりは楽しめた。藤原竜也は「バトルロワイアルⅡ」や「デスノート」で犯罪者役は見ているのでまたかという気がしないでもないが、この清丸という役は最後まで本当にクズで、このサイコパスに同情を誘うような設定がまったくされていないのは好感が持てるし、演じる藤原竜也の演技もうまくハマっている。清丸の最後のセリフもいかにもサイコパスらしいセリフで、この清丸という男の異常さをストレートに表していて思わず戦慄が走り、とても印象に残る。孫を清丸に殺されたことで彼を殺した者に10億円を支払うという広告を出す老人を演じる山崎努は「マルサの女」の権藤の老後を見ているような雰囲気がどことなくあり、役名が「マルサの女」の芦田伸介の役名である蜷川ということもあり、意識したキャスティングなのかなとつい思った。クライマックスの警視庁前に蜷川が現れるシーンを見て久しぶりにまた「マルサの女」が見たくなった。