1.現実の世界でファンタジーを語るというニール・ジョーダンの得意分野だけに、作品の内容は非常に安定しています。基本的には大人のラブストーリーなのですが、そこに子供の視点を介在させることでファンタジーを許容しうる幅を作っている辺りが実にお見事。また、クリストファー・ドイルによる撮影も美しく、小さな物語でありながら非常に丁寧な作りで好感が持てました。。。
問題は、オンディーヌの正体が判明して以降の物語があまりにつまらなかったということです。監督も後半パートでは題材に対する興味を失った様子で、それまでの丁寧な仕事から一転して、えらく雑で乱暴な映画になってしまいます。オンディーヌをどう受け入れるのかという主人公達の葛藤などもまったく描かれておらず、ドラマがぷっつりと切れた状態で安直なハッピーエンドを迎えます。。。
また、コリン・ファレルの演技は巧いものの、本作の主人公の人となりには合っていないように感じました。基本的に二枚目のファレルでは、街の人たちから道化者として扱われる人生の失敗者には見えないのです。オンディーヌを演じるアリシア・バックレーダはこの世のものとは思えない程の絶世の美女なのですが、そんな彼女と並んでもまったく見劣りしないファレルでは、物語の意義が半減してしまいます(ファレルとバックレーダは本作がきっかけで交際を開始し、二人の間には子供もいる模様)。