5.ポイントは個々人にとって色々あるだろうが、自分はラウの人生は本当に無間地獄なのかという点に注目してみた。
冒頭に触れられていたが、無間地獄とは絶え間なく責め苦にあうという意味だが、ラウの人生は果たしてそうだったのか?
最初の見所である内通者合戦からラウは命懸けでボスを守ろうとしている。はっきり言って悪の道を必死にやっているようにしか見えない。
つまりラウという人間が本当は善人であり、善人なのに苦しみながら悪事に手を染めているようには見えないのである。彼の行動は全て自分自身のことしか考えていないように見える。
ラウの苦しみが描かれていないからイマイチ感情移入できないのである。一方、ヤンの方は安心して眠れる場所はただ一つ、ケリーチャンの椅子だけであり彼の苦しみ、地獄は感じ取れた。
チャンが次は見た夢を教えてと精神科医として言った時に、「夢で会おう」と語ったセリフはカッコ良かった。
ラストももう一工夫欲しかったと思う。
自分なら、善人の道を歩みたいと嘆いたラウに対して、潜入の苦しみを知っているヤンはこの地獄から抜け出させるために手を差し伸べるようにすると思う。
そのやっと掴んだ自分の道を一歩、歩もうとした時にもう一匹のイヌが出てくる方がいいだろう。
イヌはヤンを殺し、証拠をネタにラウを再び悪人の道に引きずり込む。それが無間地獄というモノだろう。
ラストの歌にもあるようにやっと見つけた自分の道が、自分の人生を変えることも許されずに、振り出しに戻る、それが地獄というもの。
イヌを殺したら地獄でも何でもない。少しLAコンフィデンシャルに似ているのもマイナスかと思う。