11.「結果」だけ見れば、この手の犯罪サスペンス映画としては、常套手段のオンパレードであり、“どんでん返し”に伴うカタルシスは極めて薄いと言わざるを得ない。
しかも、主人公のキャラクターが“詐欺師”でこの“真相”では、名作「スティング」をなぞっていることは明らかで、顛末が容易に読めてしまうのは大きなマイナス点だと思う。
ただし、それでも一定の見応えは備えている映画だとも思う。
何と言ってもキャストが豪華だ。それほどの大作でもなかろうによく揃えられたものだと思う。
ほぼ映画の事前情報を入れずにふらっと見始めたので、アンディ・ガルシアの登場で「お!」、ダスティン・ホフマンの登場で「おお!」と素直に驚けた。
ポール・ジアマッティやルイス・ガスマンら地味ながらも味のある俳優が脇を固めているのも嬉しい。
特筆すべきはやはり、レイチェル・ワイズの美しさに尽きる。
この映画の娯楽性を保ち、結構良い映画なんじゃないかと錯覚でも感じさせるのは、ヒロインの魅惑的な存在感があるからだ。
実際、映画の価値においては、そういう部分も重要な要素の一つだと思う。
ネタは数多の詐欺師映画の模倣だし、諸々の人物描写に整合性が無い部分も多い。
褒められた出来ではなく、人にも勧めづらいが、それでも楽しむべき要素は備えている。
少なくともレイチェル・ワイズのファンにとっては。