1.映画最初の方で炸裂する機関銃の迫力の無さに、斃される兵士たちの倒れ方にもやる気が感じられず、ヤな予感がしてくるのですが、こんなこと書くと「オマエはそうやって、マカロニの冒頭シーン観るたびに、いつもヤな予感ばかりしてるんじゃないのか」と言われそうで、いや、決してそんなコトないんですけどね。でも殊更に否定もしませんけれど。
主人公のガンマンが、例のトニー・アンソニーという人で、悪者どもと戦うのかと思いきや、彼らに擦り寄り、一緒に金貨を奪う算段を取り付ける。で、首尾よく金貨を奪ったはいいけれど、分け前に与りそびれたもんで、金貨欲しさに、悪者ども一行にイヤらしくつきまとう始末。いや、コレ、金貨が欲しいなんてのは口実で、実は一味の仲間に入れて欲しくってイヤガラセまがいのちょっかいをかけているようにも見えてくる。そう見えちゃうのは、主演トニー・アンソニーの風貌がどうにも貧相だからでして。悪者どもに囲まれると、貫録負けすること夥しい・・・さてここで、邦題が「暁の用心棒」なのですが、この主人公のどこが用心棒なんだ、と思ってると、中盤でしっかりリンチにあってタコ殴りされる場面があり、ああこれは確かに『用心棒』の流れを微かに汲んだ作品ではあるわい、と。ま、所詮マカロニの邦題ですから気にする必要もありませんが。
で、頼りない主人公も、このリンチで多少は懲りただろ、と思ってる間に、いともたやすく危機を脱出してしまい、えーそんなんでいいのかよー。ってか、敵が妙にアッサリ絶命する場面が多い気がするんですけどねー。
↓やましんさんがおっしゃってるように、この映画、セリフがかなり少なくって、冒頭シーンなども無言が続くし、主人公と彼が助ける女性との間にも殆ど会話が交わされない。それが、ちょっとシュールな趣きすら感じさせて、独特の雰囲気を出しているし、クライマックスで背景に虫の音が聞こえ続けるのも、ちょっと不思議な気分になってきます。
ただ、何かというと流れ始めてしまうBGMが、どえらく安っぽい単調な音楽で、このせいもあって、BGMがようやくやむと背景の音につい意識が向かうのかもしれませんけれども。
それにしても、なぜか道のド真ん中に敷かれたトロッコのレール。こんな短い距離で、何のために敷かれたのか。普請もやたらテキトーだし。
というあたりも、イヤでも強い印象を残してしまうのでした。