16.冷血は未読でカポーティについても無知だったが何といってもフィリップ・シーモア・ホフマンの凄みに尽きる。 哀愁、表現力は勿論のこと作品との一体感がある。 伝記なので興味が無ければ中々入ってこないが、彼の名演が非凡へと押し上げている。 今までの脇役の印象が吹っ飛んだ。 |
15.終始薄暗い雰囲気が作品を支配する映画ですが、これはカポーティの全てうかがい知ることが出来ない心の闇を現わしているかのようでした。同業者仲間や知識人達とのパーティ会場で自身の心の闇を悟られまいとするかの如く必要以上に陽気に、あるいは道化のごとく振る舞うカポーティの姿、その一方で暗い独房の中で殺人犯と接している彼の方が自然体に映る。終盤には「君と本当に友達になりたかった」とまで言った。しかしそれは「冷血」を完成させようとする彼の野心とは相反する。そんな彼の非常に複雑な心境を見事に演じたホフマンは流石と言う他ない。映画としては全編を通して暗く全く抑揚が無い作品ではありながら退屈する事なく観ることができましたが、これは非常に複雑なカポーティという人間を見事に演じたホフマンの卓越した演技力によるところが大きい映画であるように感じました。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-09-12 23:50:38) |
14.小説「冷血」は未読、トルーマン・カポーティについては「ゲイで人格破綻者」という知識のみで観たが、職業柄(性格も)多くの人にとって共感しづらい人物であろう主人公を見事に掘り下げ、演じ、その苦悩を提示してみせたフィリップ・シーモア・ホフマンは、やはりアカデミーに値したのではないかと思う。ただし作品自体は、彼の演技に救われた部分が多分にあったように感じた。 【wood】さん [映画館(字幕)] 6点(2010-05-08 17:47:46) |
13.人物の伝記映画は、観るタイミングが難しい。 創られたエンターテイメント性が期待できないことと、描かれる「事実」に対する鑑賞者の知識量が、観賞後の感想に多分に影響してくるからだ。 フィリップ・シーモア・ホフマンという決して派手さのない俳優を主演に配し、アカデミー主演男優賞まで穫ってしまったことは、映画ファンとして興味深く、随分前から観たいと思っていた。 しかし、描かれる人物“トルーマン・カポーティ”に対する知識がほとんど無かったことが、食指を鈍らせていた。 カポーティ本人がどんな人物かは知らないが、映画世界の中で独特の人物像を創り上げ体現していた主演俳優の演技は、賞に値するものだったと思う。 全編通して、作品自体にも質の高さを感じたし、あまり抑揚がないテンポで展開しつつも、観る者を巧く引き込む語り口を備えていた。 ただし、もう少し主人公であるカポーティの心情を深く描きとる必要があったかもしれない。 主演俳優は独特のキャラクターの中で絶妙に押し殺した感情を表現できていたと思うが、描写自体がどこか軽薄な感じがあり、感情を移入することがあまり出来なかったことも事実。 カポーティという作家が、残虐な殺人事件を題材に書き上げたノンフィクション小説「冷血」。 そのタイトルが示すものは、殺人を犯した犯人のそれなのか、はたまた本を書くために事件とその犯人を冷静に見つめ続けた作家のそれななのか。 そういうことを考えると、単純に感情移入を許さず、その人物の本質を各々に見出すための余白を残した映画であるとも言える。 【鉄腕麗人】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-02-01 11:10:04) |
12.伝記物というのは、人間臭さを見せたいのか、影の部分ばかりを前面に押し出す傾向にありますね。まあ、そうでないと映画にならないのでしょうけれど。あの甲高い声がとても耳障りでした。 【カタログ】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-01-06 23:59:41) |
【ジダン】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-12-29 16:31:01) |
10.常に脳の中で世界を創造し完結する作業を繰り返している小説家って、ときにしっかりとした現実の手応えが欲しくなってノンフィクションに挑むのではないか。恐ろしいものに直面するとホッとする、って。ただし現実世界は当然こちらの思い通りには運営できず、早く作品を仕上げたくても死刑執行は何度も延期される。せっかく外の世界に材を求めたのに、それが脳の中の予定表に従わないことにイライラさせられる。そこらへんの苦い皮肉が本作の味わい。被告ペリーに人間として親しみたいという感情よりも、作品の素材としての興味のほうが最後には優先されてしまうのだ。固く締まった小人のようなペリーとブヨブヨした子どものようなカポーティ、いいコンビになれそうなのに、二人の孤独はすれ違ってしまう。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-09-15 12:20:19) |
9.主演男優賞受賞ということで借りた。主人公の演じるキャラクターがもともとああいう感じなのかもしれないが、自分としては実際の生活でどこにでもいそうなキャラを完璧に演じきる、というほうが役者の実力が試されると思う。そういう意味では今回の主人公はあまりにも特殊すぎた。 【珈琲時間】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-07-16 09:16:50) |
|
8.偽善もここまでやれば立派。良いか悪いかは別としても。 【mimi】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-06-26 23:39:21) (良:1票) |
7.主人公の心情を考えつつ見なければいけないので、眠気に耐えれる人しかオススメできません。あと、冷血を読んだほうがいいかも。スゲェ読んでみたくなります。人にはあんまり進められそうもありませんが。。。 【マキーナ】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-06-10 17:10:53) |
6.これは小説「冷血」を読んでいないと、分からない部分が多いのでは? 小説「冷血」は好きじゃない(村上春樹の「アンダーグラウンド」を読んだ時に感じたものと同じものを感じて・・・)が、好きじゃない理由がこの映画に描かれているのだと気付きました。P.ホフマンの演技には瞠目するものの、内容はやっぱり小説同様好きじゃない。ただ、カポーティのことをもっと詳しく知りたいと思わせてくれたので、プラス1点。 【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-05-28 14:20:48) |
5.それなりに見ごたえがありました。本物のトルーマン・カポーティを知らないのでどれほど似ているのかは分からないが、小説を完成させることと犯人への情との狭間で苦悩し矛盾した行動をとってしまう苦悩は分かったような気がする。 【思込百遍】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-05-01 00:10:55) |
4.何の予備知識もなく見ました。 映画は映像もキレイで音楽もよかったと思います。 見終わったあとなんとも言えない気持ちになりました。 主演の人の一貫したキモいしゃべり、表情等とても独特でした。 夢に出てきそうです。本物のカポーティもあんな感じだったのでしょうか。 |
3.カポーティその人の知識も無く、彼の小説も読んだことも無く、ただフィリップ・シーモア・ホフマンのオスカー実績が見たくて観賞した。どこまでも淡々とした映画で、小説「冷血」に関する事件を静かに追っている。映像は深い色を使って綺麗にまとめていた。4つの棺を捉えた画など臨場感があって、ウッと息が詰まった。さてホフマン、いかにも金メッキ張りなキャラクターで、どのシーンでもピリピリと頭に響く声でよく喋る。臆病な側面、悩む顔も見せてくれたけれど、終始あの調子でやられてしまうとちょっと胃もたれがする。殺人犯ペリー役の彼やキャスリン・キーナーなどの、画面に合わせて抑えた雰囲気作りからもかなり浮く。「冷血」やカポーティの下調べをすれば、物語もホフマンの姿ももうちょっと楽しめたかもしれない。 【のはら】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-03-25 09:35:32) |
2.実話に基づいたものでなかったとしたら、主役の演技はすごくわざとらしく思えてしまうものだった。演技力はあるのだろうし、似てはいるのだろう。犯人から話をすべて聞くまでは刑の執行を延ばそうとしていたのに対し、聞いてしまったあとはその情熱が冷めてしまうところがうまく描かれていたと思う。 【HK】さん [映画館(字幕)] 6点(2006-11-25 22:20:57) |
1.本作はトルーマン・カポーティの伝記映画ではなく、「メイキング・オブ・小説“冷血”」か、カポーティを主人公にしてリメイクした映画「冷血」といった仕上がり(従って「冷血」を読むか映画版を観てないと解らないシーンも多々あり)。世界初と言われる「ノンフィクション小説」はどの様にして生み出されたのか、そして、そのことが作家にどう作用したのかが淡々と描かれてます。犯人に対して同情や共感を覚えつつも、単なる取材対象、更には「名声の成る木」として狡猾に接していくカポーティ。取材以前の彼がほとんど描かれない為、徐々に引き裂かれていく特異な作家の複雑な内面というテーマは、私の様にカポーティを良く知らない人間には解り辛いかもしれません。あと、ドキュメンタリー出身の監督ということで、シネスコ画面の構図を持て余してる様に感じられたのが玉に瑕でした。それにしても、フィリップ・シーモア・ホフマンもモノマネ大賞だったんでしょうか…、6点献上。 【sayzin】さん [試写会(字幕)] 6点(2006-09-29 00:04:56) |