12.サラッと現在と死後の世界を描いた映画。
こじつけがましい運命論はナシ、説教くさい現世・来世の話もナシ。
(「ヒアアフター」は訳すと「来世」ですが、日本語の「来世」とは意味合いがかなり違う。単純に「現世の次の世界」というような感じ。「あの世」でもOKだと思います)
当然のように死んだ者はあの世にいて、まれに、ジョージのようなサイキックを通して、現世の者とほんの少しだけ交信する。
生の隣には死が存在しているのに、生きる者は死を全く意識していない。
それと同じで、死に触れた経験を持つ者だけが、死後の世界を知っている。
その経験は生しか見ていない人間にはまったく理解してもらえず、彼ら彼女らには孤独が付きまとう。
死を強く知ってしまった彼らは、死を知らない人間たちよりも数倍、生きるのが困難なのだ。
そんな彼らが、悩み、行動し、迷い、考え、感じる姿が描かれる。
彼らの望む幸福は、死を知らない人間たちと同じ、ごく普通の幸福だ。
だが死を知っている分、彼らの方が幸福の得難さ・有りがたさを何十倍も感じているのだろう。
だから、自分にもたらされた小さな幸福を、彼らはきっととてもとても大切にして生きていくに違いない。
そんな風に感じるラストでした。