1.画面いっぱいの海。画面いっぱいの波。玉虫色の船内カジノ。風が奏でるノイズ。エロおやじのような少年。あいかわらずのぶつ切り音楽。あいかわらずのパレスチナとホロコーストとピアノの音。あいかわらずの映画の引用。そしてなんのこっちゃなお話。前作『アワーミュージック』で「別格」であることをまざまざと見せ付けたゴダールであったが、今回私の中のその「別格」というハードルが仇となったのか、どうにもこうにも面白くなかった。見ているあいだじゅう、あまりのつまらなさに3点とかつけちゃおうかとも思ったのだが、いちいちハッとさせられる美しい映像に、或いはオオッとうならされる見たことのある画面にまたしてもしてやられるのだ。船の濡れた床の美しさにはびびった。