2.自分の父親がガンを患って亡くなるまでを追って監督が撮ったドキュメンタリー。これが砂田監督のデビュー作だが、よく出来ていたと思う。徒に観客を泣かせようとする演出ではないが、やはり人が亡くなる瞬間というのは哀しいものでぼろぼろ泣いてしまった。小さい頃から、監督は家族を相手にカメラを回すことが多かったらしく、家族皆が非常に自然に振舞っているのは良かったと思う。中でも、死を控えたお父さんの態度はなかなか立派で、簡単に真似できるものではないが、自分もその時には淡々とその事実を受け入れたいものだと感じた。生き方だけではなく、自分で死に方も決められる大人でありたいものだ。
また、本人は死を受け入れるものの、家族の受け止めは様々であった。特にこれから二人の老後を楽しもうと考えていた奥さんの悲嘆はさもありなんと観ていて本当に気の毒だった。遠隔地に住む長男も仕事が忙しい時期なのに、よく時間を作って帰ってきてえらいと思った。自分も、その時にはなるべく親のそばに付き添ってやるようにしたい。特に捻りがあるわけではないストレートなドキュメンタリーであるため、監督の力量は測りにくいが、色々と考えさせられた。
それにしても監督がまだ中高生の頃の両親の夫婦喧嘩の映像なんかもちらっと出てきたりして、三つ子の魂百までとはよく言ったものだと感心した。