8.この作品における「青春」。それは、“非現実”という多幸感だ。
現実を執拗に突き詰めていく青春劇も勿論あろうが、敢えてそれ(現実)を無視することで生まれる幸福と娯楽。この作品の在り方が意図することは即ちそういうことだと思う。
と、意識的に堅苦しく綴ってみたが、要は何の事はない。
軽音部の彼女たちに対して、“萌え萌え”の“ペロペロ”だったということに尽きる。
はっきり言って、そのこと以上に特筆するべきところなどなく、それが総てで良いのだと思う。
テレビシリーズは未見。
当然登場するキャラクターたちに何の思い入れもないままこの映画化作品を観始めた。
ストーリーは非現実的だし整合性もなくグダグダ感に溢れている。作品として鑑賞後の満足度が高かったわけでもない。
けれども、まんまと彼女たちの一挙手一投足に萌え、「テレビシリーズ観たいかも……いや観たい!」と思わせたこの映画の在り方と、アニメーション技術の確かさは、まったくもって正しいのだと思える。
この映画作品では流石に泣けなかったけれど、テレビシリーズを観終わる頃には号泣している自分の姿がわりと容易に想像できてしまう。