1.うーん、終始、赤を(血の色ってことだろうけど)意識したあざとい演出が鼻について、何とも言えない嫌な気持ちになる上、時系列をランダムにした構成で、なんだろうねぇ、流行りの手法を取り入れているというか、その志の安直さにちょっとゲンナリなりかけた前半だったんだけれども、どういうわけか見入ってしまった。いくら母親が妊娠を歓迎しなかったからって、生まれた赤ん坊がそれで懐かないなんてのはちょっとリアリティに欠けるんだけれども、親子とはいえ、相性ってものは当然あるわけで、ケヴィンが物心付いた以降はそれなりにリアリティを感じてしまう。ケヴィンは、一種の「究極のマザコン息子」とも言える。母親のエヴァはケヴィンに対し常にオドオドし、顔色を窺い、エヴァのケヴィンを見る目は時々それこそ「化け物」を見る目である。強すぎる母親に潰される子どもの話は悲壮感溢れるが、モンチャイに甚振られる母親の話は不条理感炸裂。ただ、エヴァに対して同情もできず。なんというか、登場人物全て、無機質なんである。人物描写はもちろんあるんだが、やっぱりどこか類型的なのか。血が通っていないんだよね、みんな。この手のモンスターチャイルド(モンチャイ)が大人に鉄槌を下すモンチャイ映画の多くはホラー。モンチャイは、作られる場合もあるし、そもそもモンチャイだったという場合もあるだろうし、後者の場合はホラーだよねぇ。前者の場合は親子の葛藤モノってことだろうけど、本作は、それがどっちか分からないんで、怖いんだか何だかもよく分からない。いずれにしても、親子って因果なもんだよなぁ、本当に。「絆」なんて、雰囲気で安易に口にしてほしくないよ、マジで。