14.映画ファンとしてゴダールは押さえておかないとならないと思い、初ゴダールです。
とりあえず59年にこの映像感覚は凄い、というのが第一印象でした。
ただ初回鑑賞時は斬新な演出以外に本作に面白みを見出せず、正直退屈でした。
しかし、映画の内容を把握した2回目以降の鑑賞では、驚くほど自然に内容を受け入れる事が出来、この世界に浸ることが出来ました。
初回鑑賞時はこの映画を「理解」しようと努めすぎていたのかもしれません。
台詞の言葉ひとつひとつ、映像ひとつに意味を、いちいち見出そうとしていたのかもしれません。
ストーリーはとてもシンプルで、悪く言えば中身の無いストーリー。
台詞もクセはあるが中身の無い、会話というよりは投げっ放しの言葉がそのまま宙に浮かぶようなもの。
ただその映画全体に漂う「投げっ放し感」は、どうしようもないダメ男ミシェルが放つ雰囲気そのままに、どこか不思議な魅力を感じずにはいられません。
映像、台詞回し、パトリシアとミシェルというキャラクター、音楽など、映画を構成するもの全てが個性的で、そのアナーキーで洒落た感覚は今見ても古さを感じませんでした。
むしろ新しいものを、今更この59年作モノクロ映画から与えられた気がします。