1.うまくいかない人生、現実の厳しさをファンタジー的要素にうまく包み込む。
母国アイルランドを舞台に様々な人生を描いてきたニール・ジョーダンですが、これも彼の好きなパターンの作品です。
突如海から現れた美しい精霊と、アイルランドの田舎の海辺の町でさえない日々を過ごす漁師のロマンス。
彼女を精霊と信じる漁師の1人娘が可愛らしく、現代のおとぎ話的世界観に欠かせない重要なピースとなっています。
アコースティックギターを基調とした素朴な音楽も海辺の田舎町の日常に自然と溶け込む。
こういう世界観の作品は嫌いではないのですが、なぜ彼女は突如海から姿を現したのか?
もちろん彼女が精霊であるはずがなく、訳アリであることは容易に想像がつくのですが、
その訳アリの事情がそれまでの世界観とかけ離れすぎているのが残念。
男のことでも何でもいいのですが、もう少し普通の事情の方が本作の世界観には似合っていたと思います。