4.サミュエル・L・ジャクソン演じる極右のTVショー司会者が、持論の本音を曝け出すさまを堂々と映し出して映画は終幕する。
とてもブラックで特異なラストシーンだが、この映画における“正義”の勝利を表したシニカルで巧い結末だったと思う。
“ロボコップ”リブートの報を聞いた時は、正直なところ「何を今更」という印象を拭えなかった。
1987年のオリジナル自体、僕自身が映画をちゃんと観始める前にテレビ放映されていたものをなんとなく観たといううろ覚えの記憶しか無く、決して面白い映画とは思っていなかった。
タイトルが示すように軽薄なギャグ要素が強い映画だと思い込んでいた節もある。
今回このリメイク作品を観てみて、この物語素材が持つテーマの社会的要素の深さに、今更ながら感心してしまった。
多角的な悪意によってロボット警官と化してしまった一人のヒーローの存在を礎にして、この社会が持つ病理性、この人間世界が持つ傲慢さを描き出している。
オリジナルでポール・ヴァーホーヴェン監督が表したほどの毒々しい個性は無いかもしれないが、作為的に極端なキャラクターや映画世界の造形と絶妙な後味の悪さは、オリジナルをしっかりと踏まえた上での“オリジナリティ”になり得ている。(ロボコップの“裸体”はかなり衝撃的だ……)
形ばかりをなぞった意味のないリメイクは数多いが、今作については充分に意味のあるリメイク作品だと思う。