2.アイデアの奇抜さや、そのアイデアを観客に伝えるためのストーリーの整理の仕方など、この監督の手腕には恐れ入るのですが、『ミスター・ノーバディ』に続き、私との相性は良くありませんでした。
この監督はアイデアで引っ張る一発ネタ的な作風である割りには上映時間が長めだし、極端な設定から人類普遍のドラマを導き出すのかと思いきや、その核にはそれほど訴求力のあるメッセージがなかったりと、結局技巧を楽しんでいるだけという印象がしてしまいます。
比較すべき相手かどうか分かりませんが、例えばチャーリー・カウフマンのように、物凄く奇抜な設定やキャラクターを選択しながらも、見る者の共感を呼ぶような着地点を見出せる作風の方が、より万人受けするのではないでしょうか。