1.詳しくは知らないのですがグリムの原作から大きく変更されているようです。しかし物語の持つ残酷性や登場人物の特性は童話の形式を踏襲しています。登場人物たったの4人で、閉塞感のある家、小さなベッド、それに対して荒涼とした開いた風景。この寒々とした景観は何かよからぬ事が起こりそうな気配を漂わせています。また蝋燭の炎が窓に映っている場面などは窓が鏡の役割を果たしており、窓の向こう側は別次元の世界であるということを暗示しているようです。ストーリー自体はハッキリ言って何を言いたいのかよく分からないのですが、魔女の力を有する姉妹が身の危険を感じ保護を求め怯えているのは人間に近い設定です。通常なら絶対悪という決まりきった記号で描かれる姉のカトラも弱々しいので、物語は複雑化しています。母親の胸にぽっかり空いたブラックホールの如き黒い穴は本作の世界観とは少々違う異質な感じもしますが、モノクロの映像美とビョークの一風変わった雰囲気は幻想性を醸し出し現実との切り離しに成功しています。