1.この映画ではヘンなことを覚えている。長いバレーシーンの途中にフィルムのつなぎ目が来てたのを、踊っている人形のゼンマイを巻き直すことでそこをしのいでいたこと。音楽映画の弱点はフィルムのつなぎのとこなんだけど、それをいかに乗り越えるかを、先人はけっこう楽しみながら工夫してたみたい(それとももともとそういう振り付けだったのかなあ)。映画の振り付けは舞台のバレーとは異質なものであるべきだが、でも最近のミュージカル映画のように、あんまりカットを割りすぎるとダンスの妙味が消えてしまう。本作はダンスシーンをたっぷり取っていたように思う。恋仇役の表現主義男の押しつけがましさが鬱陶しい、と当時の日記に記してあった、けど青に浸された「ホフマンの舟歌」の場などけっこう凄みがあって良かったような記憶もあり、今見直せば評価が上がるんじゃないかな。テーマは不可能な恋。