2.大映映画はときに知らない人が多くて寂しいことがある。藤村志保と吉田義夫ぐらいだったかな。藤原礼子いう人が改心する悪女になる。道中ものというか、娘を連れての逃避行もの。「信用されてなかったのが情けない」と座頭市がいう。座頭市はけっこう心が傷つきやすく、身体障害者の心理をときどきグッと突きつけてくる。大ヒットしたシリーズなのに、なかなかテレビでは放映されなかったのは、悪役が「このドメクラがっ」などと悪態をつくからだったろう。「この目の不自由な人がっ」では日本語になってない。そういう差別の実態がなくては成り立たない作品のはずだ。「ドメクラ」という言葉に気をつかうのが面倒くさくて盲目のヒーローを放映しない「事なかれ主義」のほうが、よほど差別的だったろう。