1.旧体制の軍人であった父に反発し家を出た青年が、父の死を聞き返ってくる。すでに死体となった父との対面後、死体が事務的に処理されてゆく様が延々と映される。旧体制の人間の死を「無」として描くところに社会の隠喩があるのは明らかなのだろうが、ひたすら長回しで映される淡々とした死体処理の段取りは正直退屈であり、眠気を堪えるのに苦心した。思い返せば、その段取りに翻弄される青年の物語には面白いところもあったかもしれないが(もちろん物語そのものが面白いのではなく映像の中に面白さがある)。惹かれるのはモノクロの黒の真っ黒さと白の真っ白さとそこに被さる生活の音と無線機からのノイズが奏でる虚構と現実とが均衡している画面そのもの。