17.本作も十分に面白い映画ではありますが、同じ監督作品とは思えないくらいに「たそがれ清兵衛」の完成度が高すぎました。本作は脚本の練り方も「たそがれ」ほど時間をかけていないようで、かなり無理な設定や話運びが目立ちます。また比較するのは酷ですが「たそがれ」の眞田広之×宮沢りえ×田中泯の完璧布陣と比較してしまうと、どうしても役者の格の違いを感じずにはいられません。例えるならば「たそがれ」=世界基準、「鬼の爪」=邦画基準、「武士の一分」=昼ドラ基準といったところでしょうか。 ただし、鬼の爪を使うラストのワンカットはやたらとカッコいい。このワンカットを見る為だけにこの映画を手に取っても間違いではないでしょう。でも実のところ友を斬るために教わった「実用的な立ち回り」と、「秘伝 鬼の爪」はどちらも結構ショボい技で、姑息は言い過ぎにしても極めて侍の精神に反する戦い方であったといわざるを得ません。また小澤征悦扮する(狭間弥市郎)の妻、高島礼子のエピソードが無駄に主張していて浮いているように感じました。そもそもこのシーケンスは本筋上は無理に入れなくても問題無いエピソードで、ちょっと盛り込み過ぎてしまった感じさえ受けます。(結局のところ高島礼子自体がミスキャストではなかったか?) あと、この作品を邦画レベルに落としてしまった最大の汚点は、松たか子扮する(きえ)とのぬるい恋愛模様でしょう。(本作においては)悪い意味で山田洋次監督らしい癖がここで出てしまいました。藤沢周平原作の映画化なのでここはグッと辛抱して、表情だけで心情が判る物悲しい描写もしくは清々しい描写を期待したかったところですが、ベタな少女趣味の流れになってしまいました。しかしこの部分を否定してしまうと本作を全否定したことにも繋がりかねず、なかなか難しいバランス感覚ではあります。まあ結局のところ「たそがれ清兵衛」が良すぎただけなのかもしれません。松たか子の愛らしさに免じて少し甘い評価で。 【アラジン2014】さん [インターネット(邦画)] 7点(2024-10-20 16:40:09) |
16.「それはご命令でがんすか」というセリフが三度繰り返され、最後は封建思想を抜け出たときの冗談めいた言葉になっていて、そのうつろいが山田さんの思想の表明なんだろう。この監督はいつも終わりの着地の地点がダラダラし緩くなってしまうものだったが、今回はサッと引いていていい。高島礼子が訪れてくるところも、意外に凄味があって見直した。底に流れているのは砲術の時代の侍の気分。なんじゃあれは、と昔気質の人には言われている。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-02-16 09:39:18) |
15.<原作未読>なにか特別唸るような展開がある訳ではないし、派手な演出もないが、丁寧な作りが素晴らしい。山田洋次監督の映画作りに対する真摯な姿勢が見応えに繋がった。俳優陣も良い。緒形拳になんつー役をやらせるんだ!って思いはちょっとあるけど、とにかく雰囲気をぶち壊すようなヘタクソは一人もいないし、なんと言っても永瀬正敏がこんなに良い役者とは知らなかったなー。出番は少なかったけど意地悪女将も上手い。。なんて思ってたら「男はつらいよ」シリーズの初代マドンナの女優さんと知ってビックリ。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-02-04 17:31:28) |
14.たそがれ清兵衛を観た事がある人は、だいぶ間を置いてから見た方がいいかも。話の流れが似ているので。でも、これはこれで十分面白い。そして、非常にかっくいい。 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-11-24 23:49:49) (良:1票) |
13.仲代の切腹と比較してはいけませんが、現代の時代劇もいいですね。 TVのビデオ録画で視聴したのですが、3倍&古いテープに撮ってしまったようで、画面がチカチカだったのが残念(俺が悪い)。 たそがれ…にも挑戦してみます。 【にゅうたいぷ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2009-06-22 18:01:59) |
12.不器用で口下手で出世には縁がないが真っ直ぐに生きようとする硬派な侍・片桐。減らず口を叩くが、明るくて陰日向のない女中・きえ。話はたんたんと進んでいく。後半の殺陣シーンも静けさすら感じる。が、すとんと落ちてくる人情の素晴らしさ。それも押し付けがましさはなく。見終わってから二人への共感でいっぱいになった。山田三部作はどれも似通った展開だが、個人的には「隠し剣~」が卓越した傑作。これは永瀬と松の演技に一番共感できたからかな。 【ぱたぱた】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-03-09 23:42:27) |
11.あの言葉は正しいのでしょうか? メルギブソンのパッションでは徹底的にリアリティを追及して 言葉は全てヘブライ語で英語の字幕がついていましたが、 そこまでこだわってほしい。 なんとも中後半端で、それならあんなになまらないでもいいのに、 と思ってしまいました。 でも、映画全体としては嫌いではありません。 |
10.『たそがれ~』よりわかりやすい内容だった。 主人公の気持ちもよく伝わってきた。 確かに戦いのシーンでも派手な演出はないが、敵同士ではあるがその人と人とのつながりはよく表現されている 【甘口おすぎ】さん [地上波(邦画)] 7点(2007-03-12 20:32:39) |
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9.山田監督フアンです。この時代劇には、派手さも、痛快さも、大立ち回りもないが、日常の生活観の溢れた、静かで、優しい雰囲気を持っている作品です。剣の達人は覇気が溢れるものと考えると、描き方に不満を感じるが・・。 【ご自由さん】さん [地上波(字幕)] 7点(2007-03-03 15:05:33) |
8.山田監督が寅さんシリーズのワンパターンについて聞かれ、「でも、お気に入りのラーメン屋さんに入ったらいつもの味を出してもらわないと嫌でしょう」という事を言っていた。そういう点で、「たそがれ・・」の味は守っているんでしょう。お客には、別のメニューを頼んでいる連中もいるみたいだが。と言うわけで、なかなか良かったが、復讐に至る動機が弱いのが若干味を落としているかな。しかし、松たか子の虐待からの大救出は感動もので、身分の違いに露骨に反発することなく、受け入れた上で乗り越えようとする健気さが心地よい。 【パセリセージ】さん [地上波(邦画)] 7点(2007-03-01 21:49:57) |
7.相変わらずほのぼのしていて観終えたあと心が温かくなるけど、この監督にしてはドキュメンタリータッチなリアリティがなかった。 【Syuhei】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-12-06 15:05:35) |
6.必殺仕事人を思い出した。 見終わった後「○○でがんす」が暫く口癖になった。 【ひで太郎】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-07-11 21:37:52) |
5.藤沢周平で外す事は無いですね。その中でも好きな(素晴らしい)女優がたくさんでていたので、好きな作品です。松たか子はオヤジさんの血をしっかり受け継いでるし。高島礼子はどっぷり自分の好みだし、田畑智子は若手の中でかなり演技に芯が有る女優ですネ。これらの女優さん達が、嫁さんだったら、まったく文句は無いな!!(^爆^) 【Pizz】さん [映画館(字幕)] 7点(2005-10-21 03:06:23) |
4.もう皆さんの言うとおり、前作の二匹目のどじょう、緊張感のなさ。おそらく松竹映画風喜劇の要素をこんどは入れたのが失敗だった。せっかく永瀬正敏が出色だったのに、残念だ。なるほど、松たか子はたしかに田舎的ではなかったが、魅力的だった。しかし、ラストの運びは身分制の時代とはいえ、あれでよかったのかねえ? たぶん山田洋次の作品の意図は、時代劇に借りた勤め人サラリーマンの悲哀というところとおみうけするが、これは現代の映画なのだから、いまさら身分の違いということを最後まで保存してしまっては、作品全体が浅くなるというものだ。 【goro】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-09-19 02:59:14) |
3.たそがれ~より面白かったがなあ。たそがれの宮沢りえもかなり良かったんだが、根本的に松たか子の方か好きだからか?いやいや久々に映画の中で見る松田洋治くんの変わってなさかな。ラストはもうちょっと余韻を楽しみたかったのにブチって終わったのが残念。師匠の家のシーンは結構好きです。苔むした萱葺き屋根の家、ちょっと壊れかけた板塀、あまり手入れされていない庭、遠くに見える濃い緑の山々がなかなか絵になってて良かった。江戸時代に生きる人間は侍も町人も農民も皆、封建制度が十二分に浸透しすぎている、主命により友を斬り、身分により女と別れた男が、幕末の新しい息吹の中、新たな自分の生き方を決断する。 【亜流派 十五郎】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-05-19 18:39:54) |
2.松たか子はきれいな人だなあ。百姓の娘には見えない。どう見ても妹役の方が百姓臭い。高島礼子は単にやられたかっただけか。死ぬ前に楽しんでおきたかったのかもね。最初に出てきたときに、「ああ、陵辱される役だなあ。」ってわかっちゃうほどの色気。緒方拳のエロ親父ぶりには脱帽。俺はあの年で高島礼子にチャレンジできません。 たそがれ、壬生義士伝、この映画と侍映画は東北ばやり。立ち回りは真田の勝ち。 俺の中では たそがれ>雨あがる>壬生義士>鬼の爪ってところか。 実は椿三十郎がぶっちぎりで優勝だけどね。痛快無比な時代劇見たいよなあ。鬼の爪なんてちょっとしか出てこないし。殺陣あってこその時代劇なのに。 【くぼごん】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-05-03 14:14:31) |
1. どうなのよ?山田時代劇第二弾と思いながらもつい観てしまっていた自分。『たそがれ』と時代設定も場所も殆ど同一で寅さん化の匂いがプンプンするんですが・・・でもそれで良いんじゃないのと思えてしまう完成度です。確かにシリーズものというのは主人公をはじめとする登場人物のキャラクターによって成り立つのかもしれません。しかし単発であっても時代劇という限られた同一枠の中で、別のキャスティングを使い「同じだけど違うもの」を作ってしまう監督の凄さがジワジワ染み出す作品です。 主人公の永瀬正敏の葛藤と時代の変化に気付きながらも最後まで実直さを捨てない潔さ。それが松たか子との距離感にあらわれていて、観ていて最後までドキドキの自分。 冬ソナに熱中するオバサンを笑えないですよ・・・って、そういうことなんですよね。 純愛ブームと呼ばれる今、そういう古き良き時代を(経験したことがない僕でさえも)どこか惹かれてのめり込んでしまう2時間半。全然長く感じなかったですよ。 もちろん恋愛だけの映画ではありません。決闘が終わってそこでエンドロールと思いきや最後に出てくる鬼の爪。ああ、そういうことなのかと。 何のひねりもどんでん返しもなくあくまで王道を突き進む映画。毎回言っていることですが日本映画に求められるものは、この安心感なのかもしれませんね。 【ひろすけ】さん 7点(2005-03-22 14:51:09) (良:1票) |