1.金髪の女がナチスとレジスタンスを行き来し時代に翻弄される。まるでヴァーホーヴェンの『ブラックブック』の原型である。その大袈裟ともいえるドラマの盛り上げ方までも受け継いでいるようにも見える。ここぞ!というところが笑っちゃうほど分りやすく、ご大層な音楽が鳴り始めたり、わざとらしく驚いた目を見せる人物の顔にズズズーンと寄っていったりといちいち大袈裟で、これって「メロドラマ」をあざ笑ってるのか?とか思ったりするほどなんだけど、おそらくは、これこそが「メロドラマ」なのだ!ということなんだと思う。元々「メロドラマ」ってのは、ここぞ!って時に音楽を流して盛り上げる、メロディ付きドラマなのだから。同じくニュー・ジャーマン・シネマの一人で年齢も同じヴェンダースが小津とフォードに恋したようにファスビンダーはサークに恋する。ファスビンダーの映画はどこか古臭いところがある。でもその古臭さは今の映画には無い「大衆娯楽」臭のような気もする。あるいは「スクリーンに映し出すドラマ」の原点がそこにあるから感じるものなのかもしれない。そしてそれは今、新しい。とにかく私は大いに楽しんだ。すごく面白かった。