1.全体的に良心で誠実に作られている。決起の場面にはなかなかの昂揚感がある。困民軍が敗れ去っていく様も、神風玉砕でもストサムライでもない普通の村人からなる集団ゆえの脆さ、物哀しさ、不格好さが非常に印象的。反面、山県有朋のあまりにも悪代官と越後屋チックな描かれ方などところどころやや安易で、残念ながら秩父での民衆蜂起の理論的側面がかえって薄れた気も。最後のセリフで映画の意義を一生懸命に説明するのも、そこまでしなくても観客は分かるのに、と思わないでもなかった。とはいえ、広い意味での娯楽作品としても、もっと多くの人に観られても良い映画。